2006-11-01

[映画]熱血男児/열혈남아

21:00
ブロードウェイ劇場1館
F列13番(Daum Cafe ソルトイ試写会)
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監督:イ・ジョンボム/이정범
出演:ソル・ギョング/설경구、チョ・ハンソン/조한선、ナ・ムニ/나문희、ユン・ジェムン/윤제문、オ・ヨン/오용、リュ・スンヨン/류승용、シム・イヨン/심이영
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 少年院で知り合い、同じ組織に属するヤクザのチェムン(ソル・ギョング)とミンジェ(リュ・スンヨン)。上から命じられた任務でミスをして、ミンジェは相手方に殺されてしまう。復讐を誓ったチェムンはミンジェを殺したテシク(ユン・ジェムン)の故郷ボルキョへ向かい、テシクの母親チョムシム(ナ・ムニ)の食堂に出入りする。手下のチグク(チョ・ハンソン)と共にテシクを待つ緊張の日々が続く中、チョムシムとチェムンの間にあたかも母と息子のような情が芽生え始め……。

 ソル・ギョングの眼つきの鋭さは超一品。チョムシムに対するぶっきらぼうな「息子」ぶり、タバンアガシへの馴れ馴れしさ、子分チグクへの非情さ、テコンド道場の子供たちへのでたらめな接し方。自分でもよく分かっていない彼の感情と行動がうまく表れている。
 そして、何と言っても母親役のナ・ムニの演技が素晴らしい。ふとした時の表情や何気ないセリフに、いくつになっても子供のために心労が絶えない母親の悲しい性がじんわりと伝わってくる。ヤクザになった息子を認められないのも、もう一人の息子が死んだことを認められないのも、息子への愛情ゆえ。対象を失った母の情愛はチェムンに向けられるが、それもチェムンの姿が同じヤクザである自分の息子にダブるから。ナ・ムニの演技は、母親の愛情が利己的でも普遍的でもありうることをごく当たり前に見せてくれる。
 母の愛情を知らないチェムン、母と和解できないテシク、母の入院費用を稼ぐためヤクザの道に入ったチグク。タイトルは「熱血男児」だが、この映画のテーマは「母」である。

 残念なのは、映画全体がストーリー(セリフ)と役者の存在感に頼り過ぎていて、登場人物たちの背負っているものが見えて来ないこと。序盤のセリフが完全に聞き取れていないせいもあるだろうが(封切後再見予定)、しかるべきショットがあるべきではないか。
 また、宣伝が今ひとつ。本編の名場面を予告編で見せ過ぎていると思うし、チラシのストーリー解説には些細な部分ではあるが編集意図を無にするネタバレがある。
 下半期の忠武路最高のシナリオとも言われていただけに惜しい。



1 件のコメント:

  1.  11月6日、公式サイトで「未公開映像」が公開された。
     チェムンとミンジェの少年時代(子役)の少年院の場面で、紹介文には「5分程度の未公開場面には、(チェムンが)ミンジェとどのように出会ったのか、チェムンが粗暴に意志強固に生きるしかなかった理由の場面を見ることができる」とある。
     こういう場面を1~2ショットだけでも本編に入れておいて欲しかった。封切前に公式サイトでこんな場面を公開するのは、事前にこのクリップを見て、本編を見る時に脳内補完してほしいってことなのでは? やはり韓国語の聞き取り能力の問題ではなかった? チョムシムと息子たちの関係、チグクの母のことも本編に1~2ショット必要では?

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