ラベル 映画 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 映画 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2012-02-19

講座「韓国映画の楽しみ」

 ちょこっとお知らせです。m(_ _)m

 2011年度に続きまして、2012年度にも清泉女子大学の生涯学習講座ラファエラ・アカデミアで「韓国映画の楽しみ」という講座を担当いたします。
 元・居住者の視点から作品の背景にある文化や生活に触れながら韓国映画の楽しさ、面白さをお伝えてしていきたいな、という講座です。

「韓国映画の楽しみ-日韓比較文化の視点から-」

 期日: 4月14日、28日、5月12日、26日、6月9日
     (毎回土曜)
 時間:午前10時40分~12時10分
 会場:清泉女子大学
     (五反田・大崎・高輪台の各駅から徒歩約10分)

 和気藹々とやってます。2011年度は20人前後のクラスでした。講座の様子はこちらにレポートがあります。ご参考になりますれば。
 韓国語ができなくても、韓国映画を見始めたばかりでも、全く問題ありません。
 「ブログを見て」「Twitterで知って」という方もいらして下さってます。ありがとうございます。
 お申し込み方法等は、清泉女子大学「ラファエラ・アカデミア」のサイトをご覧下さい。

 皆さまのお越しを心よりお待ちしております。(o^-^o)

2012-02-18

[記事]韓国古典映画をYOUTUBEで!

 すごいニュースが出てきました。
 韓国の古典映画70編が YOUTUBE を通して全世界どこにいても無料で見られるようになるそうです。




YOUTUBE を通して全世界に上映される70編の韓国古典映画
 韓国映像資料院ニュース 2012.02.17

 韓国映像資料院〈한국영상자료원〉は、Google(www.google.com)との提携を通して、韓国古典映画を世界最大の動画サイト YOUTUBE(www.youtube.com)で VOD として提供する予定だ。ユン・ヨンギュ〈윤용규〉監督の『心の故郷〈마음의 고향〉』(1949)からホン・サンス〈홍상수〉監督の『豚が井戸に落ちた日〈돼지가 우물에 빠진 날〉』(1996)まで、総70編の多様な時期の映画が YOUTUBE 内に韓国映像資料院が開設したチャンネル koreanfilm(www.youtube.com/koreanfilm)でオンライン上映される。 すべての作品には英語字幕が含まれ、Google 翻訳を通した他言語字幕サービスも可能で、数十億の全世界 YOUTUBE 利用者たちに韓国古典映画を披露することができるようになる。このうち、『裸足の青春〈맨발의 청춘〉』(1964、キム・ギドク〈김기덕〉)等7編はHD高画質でサービスされ、すべての作品は無料で鑑賞することができる。

 今回、70編の映画の中にはユ・ヒョンモク〈유현목〉監督の永遠の古典『誤発弾〈오발탄〉』(1961)と1961年ベルリン映画祭銀熊賞を受賞したカン・デジン〈강대진〉監督の『荷馬車〈마부〉』(1961)が含まれており、韓国古典映画のベストセラー監督キム・ギヨン〈김기영〉の『下女〈화녀〉』(1971)、『異魚島〈이어도〉』(1977)、『殺人蝶を追う女〈살인나비를 쫓는 여자〉』(1978)等、彼の作品7編と共に、シン・サンオク〈신상옥〉監督の『地獄花〈지옥화〉』(1958)、『離れの客とお母さん〈사랑방 손님과 어머니〉』(1961)、『成春香〈성춘향〉』(1961)等6編の作品も提供される。併せて、1980年代の韓国映画の新しい流れを牽引したペ・チャンホ〈배창호〉監督の『コバン村の人々〈꼬방동네 사람들〉』(1982)、『黄真伊〈황진이〉』(1986)、『すばらしき我が青春の日々〈기쁜 우리 젊은 날〉』(1987)から1990年代の問題作監督チャン・ソヌ〈장선우〉の『競馬場へ行く道〈경마장 가는 길〉』(1991)、ホン・サンス〈홍상수〉監督の『豚が井戸に落ちた日』(1996)まで、さらに国民監督と呼ばれるイム・グォンテク〈임권택〉監督の90年代の作品4編(『将軍の息子〈장군의 아들〉』(1990)、『風の丘を越えて/西便制〈서편제〉』(1993)等)も YOUTUBE チャンネルを通して見られるようになる。

 映像の翻訳及び字幕作業は Google の支援を通して行われ、韓国映像資料院 YOUTUBE チャンネルはエンコーディングと翻訳の作業を経て、この5月にオープンする予定だ。





 これまでも様々な古典映画を発掘し、名だたる監督の傑作を次々とDVDリリースしてきた韓国映像資料院が、今度は YOUTUBE と提携して、古典映画70編をいつでも誰でも自由に見られるように公開するという大ニュース。公式に作成される字幕は英語のみですが、Google翻訳を通して日本語サービスも可能になるのですね。実用的な日本語字幕になるかどうかは、Google翻訳の精度次第でしょうか。

 韓国外ではあまり知られていないのですが、韓国映像資料院は、公式サイト上で400編余りの映画をVODで公開するサービスを行なっています。ただし、ここで映画を見るためには500₩という形ばかりの視聴料を支払う必要があり、支払い手段を持たない外国人にとっては事実上利用不可のサービスとなっていました。1編・24時間500₩、2週間・本数無制限5000₩、1ヶ月・本数無制限1万₩といった形ばかりの視聴料を支払う必要があり(毎月の「企画展」の対象作品は無料です)、サイトの会員加入手続きと共に、外国人にはちょっと面倒な仕組みになっていました。

 今回 YOUTUBE を通しての公開サービスに踏み切ったことで、韓国人にとっては形ばかりの視聴料金が完全無料となり、外国人にとっては決済手段という障壁が取り払われたということになります。サイト加入や決済という面倒な手続きの障壁が取り払われたということになります。

 YOUTUBE内のkoreanfilmチャンネルのURLへ飛ぶと、中身は何もない表玄関だけのページができています。登録日が2011/09/08とありますから、その頃にチャンネル開設が具体化したのでしょう。

 公開される作品は70編とありますが、この記事の中に17タイトルが挙がっています。1949年『心の故郷』から1996年『豚が井戸に落ちた日』までの作品で、あと53タイトル。全貌を早く知りたいですねぇ。

 5月のチャンネルオープンが楽しみです。わくわく。 

<追記> saruさん(@saru)から、観光映像資料院のVOD視聴料は外国人もクレジットカードで決済できます、とご指摘をいただき、本文訂正しました。実際、試してみたらJCBで決済できました。知らなかった~。ワタシが会員加入した時はできなかったような覚えが……。日進月歩どころか、秒進分歩ですねぇ、韓国。

2011-11-20

[記事]映画『サニー』のダウンロード売上

 二ヶ月近く前の記事ですが、日本公開の話もちらほら耳にしますし、各種数字が出ていて参考になるので備忘録も兼ねてご紹介しておきます。
 『サニー』、7月末にソウルへ行った際に見ました。じんわりと良い映画でした。




韓国映画興行1位『サニー』、秋夕連休だけで15億! 付加版権も大ヒット!
 
ユニオンプレス 2011.09.23

 全国観客736万を動員し、2011年韓国映画最高の興行作の地位に上ったカン・ヒョンチョル〈강형철〉監督の『サニー〈써니〉』が、劇場上映は終わっても付加版権市場で依然として大ヒット行進をを続けている。

 劇場上映を終えた後、秋夕連休直前の9月8日(木)からポータルサイトとウェブハードを通してダウンロードサービスを始めた『サニー』は、秋夕連休最後の日である13日(火)まで6日間でおよそ5億ウォンの売上を上げ、ダウンロードサービス開始10日目の19日(月)までにおよそ7億ウォンの売上を記録して、ダウンロードサービス市場でさめやらぬ興行熱気を見せている。

 大ヒット興行を記録した映画の平均的なオンライン・ダウンロードサービス収益は3~4億水準で、旧正月の連休に公開して479万人の観客を動員した『朝鮮名探偵〈조선명탐정〉』と昨年秋夕に公開して271万人の観客を動員した『シラノ恋愛操作団〈시라노 연애조작단〉』がそれぞれダウンロードサービス市場で最終的に7億と4億3千万ウォンの売上を上げたことを考えると、開始10日で7億の収益を突破した『サニー』の興行は驚くべき水準。

 このような興行熱気は、IPTV、デジタルケーブルを始めとした他の付加版権市場へも浸透している。8日から始まったKTのIPTVサービスを通して10日間で約6億ウォンの売上を上げる等、『サニー』は秋夕連休の間だけで15億ウォンほどの収益を追加計上するという威厳を示した。

 ある業界関係者は、この勢いなら、オンライン・ダウンロードサービスだけで歴代最高のダウンロード実績、最少でも10億の売上達成が可能だとし、IPTVとデジタルケーブル、衛星TVのような付加版権まで含めば、付加版権市場だけで総額30億ウォン余りの収益を上げることができるだろうという見通しも出てきている。

 『サニー』のオンライン流通を担当する「エムバロ〈엠바로〉」のある関係者はこのような爆発的な人気について、「『サニー』はとても好評である上に、すでに劇場で観覧したお客さんが家族と一緒に見たい映画であるという点が秋夕連休期間に大きな人気を呼んだ理由」と説明している。

 一方、今回の『サニー』のダウンロードサービス突風に力を得て、付加版権市場が活気を帯び、これまで崩壊していた映画オンライン流通が正常化すると同時に合法ダウンロード市場を含んだ付加版権市場が地盤を固めるのに成功するかどうか、帰趨が注目されている。





 韓国映画、今年上半期最大のヒット作品『サニー』。女子高時代ヤンチャ系グループ「サニー」のメンバーだった7人が、25年ぶりに再会しようとします。友情、恋、ライバル、将来の夢…馬鹿げたことにも一生懸命でキラキラ輝いていた高校時代。しかし、その後の人生は人それぞれで、仕事で成功した者もいれば、転落の道を辿った者もいて……果たして「サニー」のメンバー7人は全員揃うのか、あの頃の気持ちを今また共有できるのか、というお話です。
 40~50代の女性はかなり共感できるのではないでしょうか。私は女子高出身ではありませんけど、高校時代の場面はとても懐かしく切なく感じられました。心あたたまる良い作品でした。

 さて、その『サニー』がオンラインダウンロードサービスでも記録的な売上を達成しつつあるという記事です。
 日本では、「韓国は海賊版やら違法ダウンロードやら著作権無視が常識」と思ってる方も多いのですが、実際には韓国でも「ここまではOK、ここからはヤバイ」というような微妙な線引きの感覚があります。そして、変化の早いお国柄、先週までOKだったことが今週からダメということも珍しくなく、皆その変化に素早く適応していきます。さらに、インターネットとITの技術を応用したサービスは、90年代末から日本より先を行ってます。

 それやこれやで、映画コンテンツに関しても、この10年で大きく状況が変わりました。
 かなり早い時期から新作映画をタダで見られちゃうサイト(違法)があちこちにあり、それゆえ誰もがPCで映画を見ることに抵抗がなくなり、そうした違法サイトを取り締まるためにネット上に許可なく動画等をアップすることを禁じた法律ができ、それと並行するように正規の映画ダウンロードサービスがオープンし、それにともなって「グッドダウンローダー」キャンペーンが大々的に行われ、その一方で2時間の映画を10秒でダウンロードできちゃう技術なんてものが開発され……気がつけば、「映画はネットでタダ」から「ダウンロードサービスだけで数千万円の売上」へと状況が変わっていた……のでした。実際には、関係者の不断の努力で、状況を変えてきたのですけれど。
 そして、『サニー』がその「地盤を固めるのに成功するかどうか」ということなのですね。

 韓国の映画ダウンロードサービス、例えば、ポータルサイト「daum」のサービスはこんな感じです。

Dl3

 スクリーンショットを取ってきたサイトのURLはこちら。(掲載作品はアクセスの時期によって変わります。)

 上の画像は「韓国映画」のジャンルで、話題のアニメ『庭を出たメンドリ(마당을 나온 암탉)』、今年の青龍映画賞で11部門にノミネートされているチャン・フン(장훈)監督の『高地戦(고지전)』、ホン・サンス(홍상수)監督の『北村方向(북촌방향)』、そして『サニー』(画像右上)と、見たい作品てんこ盛り。どれも3500Wで自分のPCにダウンロードすることができます。それも、驚きの「DRMフリー」。 えぇっ!!!
 daum の映画ダウンロードサービスの利用案内によれば、この「所蔵-DRMフリー(소장-DRM free )」の商品は、

観覧期間の制限なしに、ダウンロードされたファイルを永久に所蔵することができ、別途のコンテツ保護装置が適用されていないため、該当動画が再生可能なすべてのPC、電子デバイス等で自由に観覧可能な商品です。

とのこと。
 『サニー』は、DRMフリーのファイルが存在するのに数千万円売れたわけで……すごいです。

 海外(韓国外)在住の韓国映画ファンとしては、ダウンロードサービスが普及してDVDが製作されなくなったりしたらどうしよう……という不安もあるのですが、それはそれとして、3500Wで手軽に韓国映画が入手できる状況は羨ましいですね。

 この記事は9月のチュソク(추석、秋夕)の後の話題でしたが、年が明ければ今度はソル(설、旧正月)の連休があります。また数千万円のダウンロード売上を記録する作品が出てくるのか、映画ダウンロード全体の売上が伸びるのかどうか、注目したいところです。

☆関連記事
韓国映画情報/09.09.14-著作権法遵守のために
ギャラ100億ウォン台のCM
[記事]2時間の映画を10秒で

2011-10-10

[日録]韓国映画『鉄人たち』(附 銀座の銭湯) 10/8

10月8日(土)

◇新橋演舞場昼の部。なかなか楽しめるお芝居でした。

◇次の予定まで時間が空いてどうしようかなぁと思っていたのですが、ふとこんなところへ行ってみることにしました。

1000001443

 銀座7丁目にある銭湯「金春湯」、有名な銭湯なので存在は以前からよく知っていましたが、実際に入るのは初めてです。暖簾をぐぐって中へ入ってみると、「番台」式でした。今では珍しいですね。土曜の夕方という半端な時間なのに、お客さんは7~8人と意外に多かったです。

 いいお湯でした~。最近の銭湯はタオルやシャンプー・リンスなどを売っているので、こんなふうに手ぶらで突然訪れても大丈夫。入湯料450円、タオル・ボディソープ・リンスインシャンプーの「手ぶらセット」150円、ドライヤー20円×2、しめて640円のリラクゼーションとなりました。

◇勢いがついて、近くの「よし田」で名物コロッケそば。

1000001445

 コロッケと言ってもじゃがいもではなく、つくねの素揚げです。秋冬の間に必ず一度は食べに来るメニュー。

◇お風呂とお蕎麦ですっかり気が緩んじゃいましたが、次の予定ははずせない。銀座から後楽園へ、文京シビックホールへ移動。

◇コリアキネマ倶楽部主催の「アン・ソンギ特集」上映会で、ペ・チャンホ(배창호)監督の『鉄人たち(철인들)』('83)を鑑賞。16mmフィルムでの上映でした。

 舞台は製鉄会社。10億ドル規模のジュベール産業港工事で10万トンのジャケット製作を落札し、当時の韓国ではとても無理と考えられたプロジェクトに対して、部長、職長、職人たちがそれそれの事情を抱えつつ技術と納期の難題に立ち向かっていくという、「鉄人たち」の物語。現代ではあり得ないようなめちゃくちゃな労働環境になってるのですが、ポスコは今でも新人研修でこれ見せてるんじゃないかとも思ったりして。
 見応えのある力強い作品でした。面白かった。

 上映会の後、韓国映画講座の受講生の方がコリアキネマ倶楽部のてじょんさんをご紹介下さって、皆さんとお茶しながらのおしゃべり。韓国映画好きな方って、ホントよくご覧になってるのですよね。私は、昔の作品は見ていないものも多くて、まだまだ修行が足りないな~と。11月12月の上映会も楽しみです。

2011-09-08

講座「韓国映画の楽しみ」

 このところブログ更新さぼっておりますが、ちょこっとお知らせです。m(_ _)m

 春期に続きまして、今月下旬から清泉女子大学の生涯学習講座で「韓国映画の楽しみ」という講座を担当いたします。
 元・居住者の視点から作品の背景にある文化や生活に触れながら韓国映画の楽しさをお伝えてしていきたいな、という講座です。

「韓国映画の楽しみ-日韓比較文化の視点から-」

 期日:9月24日、10月22日、29日、11月26日、12月10日、17日
     (毎回土曜)
  * 一部日程が変更になりました。ご注意下さい。(11/12→9/24)
 時間:午前10時40分~12時10分
 会場:清泉女子大学
     (五反田・大崎・高輪台の各駅から徒歩約10分)

 お申し込み方法等は、清泉女子大学「ラファエラ・アカデミア」のサイトをご覧下さい。

 和気藹々とやってます。今期は15~20人くらいになりそうです。
 韓国語ができなくても、韓国映画を見始めたばかりでも、全く問題ありません。
 「ブログを見て」「Twitterで知って」という方もいらして下さってます。ありがとうございます。

 皆さまのお越しを心よりお待ちしております。(o^-^o)


☆関連記事(ご参考になりますれば。)
[日録]韓国映画と歌舞伎の日 6/4
[日録]多忙で居眠り 6/18

2011-08-02

[記事]CGV、ベトナム市場進出

 これも半月以上前のニュース、7月12日付の記事です。
 ワタシは韓国の公演や映画のニュースをフォローしてるだけなのに、カテゴリーに「アジア」とか「中国」とか作らないといけないんでしょうか……。




CGV、ベトナム市場進出、映画韓流の風が吹くか
 ファイナンシャルニュース 2011.07.12

 CGVが業界1位事業者として、ベトナム映画市場に進出する。

 CGVはベトナム最大マルチプレックス映画館チェーン「メガスター」を8日、7360万ドル(約783億ウォン)で電撃買収、ベトナムに第一歩を踏み出した。

 メガスターは、米国エンボイメディア(Envoy Media)企業とベトナム現地資本が協力して、2006年ベトナム・ハノイに初めて劇場をオープンした後、現在、ホーチミンなど大都市を中心に7つの劇場、54のスクリーンを運営中だ。市場占有率は60%内外で、資産規模3800万ドル(約400億ウォン)、昨年には2300万ドル(約240億ウォン)の売上を上げた。

 CGVは既存の映画館にデジタルシネマと3次元(3D)映画の観覧施設を設置するのを始め、今年中に1~2ヶ所の劇場を新規オープンする計画だ。

 CGV広報チームのイ・サンギュ〈이상규〉チーム長は「ベトナムのボックスオフィス成長率が、昨年20%以上を記録するなど、映画産業が成長期に突入するのに反して、上映館はまだ全国で約50館、150スクリーンの水準にとどまっている」とし、「ベトナム最大のマルチプレックス映画館を通して、現地の映画産業の発展に寄与するつもり」と明らかにした。

 CGVは2006年、国内マルチプレックス映画館最初に中国へ進出、現在、中国で7館、米国LAで1館を運営しており、蓄積したグローバルノウハウをベトナムに適用するとのこと。

 一方、早くからベトナムは韓国ドラマやK-POPなど韓流ブームが巻き起こった所であり、今度のCGVのベトナム進出は韓国映画が東南アジア市域へ広まっていく拠点となるだろうという期待が、業界関係者の間で大きくなっている。





 ワタシが不勉強なのですが、ベトナムの映画市場について韓国の記事で勉強することになるとは。「メガスター」、初めて知りました。(^◇^;

 韓国でチェーン形式のシネコン大手と言えば、現在ではCGV(全国79館)とロッテシネマ(同65館)が双璧、これにシナス(同35館)、プリマス(同25館)、メガボックス(同16館)が続きます。なるほど、CGVは「業界1位事業者」ですね。

 だからって、ベトナムの映画館チェーンを7360万ドルで電撃買収しちゃうってのは、スゴイですよね。1ドル=78円として、57億4080万円。日本の映画業界で、同規模の投資が可能な会社ってあるのでしょうか。資金はあっても、ベトナムに投資するなんて考えないのかな。この記事にある「資産規模3800万ドル」、昨年売上「2300万ドル」が掛け値なしなら、良い買い物のように見えますが……。
 元々アメリカ企業とベトナム資本の協力で成立した「メガスター」を買収したのですから、ベトナムの映画ビジネスでアメリカの取り分だったところをごっそり韓国が分捕ってった、という見方もできそうです。

 CGVはすでに中国へ進出していて、昨年6月にはロサンゼルスに進出。LA進出の件は、このブログでも記事を紹介しました。
 LAはともかく、中国、ベトナムと来たら、次はタイ?インド? タイやインドの映画市場について全然知らないままの出放題です。鵜呑みにしないで下さいね。でも、あり得るかも。

 一昨日、韓国の公演製作会社の最大手 CJ が中国のミュージカル市場へ進出したという記事を紹介しましたが、公演でも映画でも韓国企業のアジア進出が続いています。それも、これまでのような「韓流」コンテンツというソフトでなく、ビジネスモデル、インフラでの進出。

 数年内に、東アジア・東南アジアの公演・映画ビジネスは韓国企業が牛耳っていて、日本はガラパゴスとして生き残る……なんてことになっちゃうのかなぁ。「ガラミュー」に「ガラ映」?


☆関連記事
[記事]LAにCGV
[記事]CJ、中国語版『マンマ・ミーア』公演開始

2011-07-24

[記事]檀国大、CJE&M・映振委と映画人養成へ

 いろいろ溜め込んでる情報があるのですが、なかなかアップできなくて。

 ちょっと前に発表されたものですが、成り行きに注目したいニュースです。




檀国大学-CJE&M、映画振興委、人材育成MOU
 聯合ニュース 2011.07.10

 檀国大学校〈단국대학교〉はCJE&M、映画振興委員会〈영화진흥위원회〉と韓国映画産業のグローバル競争力強化と韓国映画発展に寄与する専門映画人養成のための了解覚書(MOU)を締結したと、10日明らかにした。

 これら三者の機関は、今月8日、檀国大でMOUを締結した。

 これにより、檀国大とCJE&Mは檀国大が推進中である映画コンテンツ専門大学院設立時に、大学院の映画教育プログラムと人材学術情報資料、卒業生の就業機会提供等、関連分野で相互に協力することとした。

 また、映画振興委員会とは、教授陣構成、教育施設と機材活用、映画コンテツ関連R&D Lab運営等に関して、協力することにした。

 文化コンテンツ分野の特性化のために、2012年開院を目標に映画コンテンツ専門大学院設立を推進中である檀国大は、最近、キム・ドンホ〈김동호〉前・釜山国際映画祭組織委員会執行委員長を主任教授として招聘し、映画コンテンツ専門大学院設立推進委員長に任命している。





 まず、檀国大が公的機関である映画振興委員会(略して映振委)とMOUを締結したということに驚きました。
 さらに、現状、韓国の映画・公演業界におけるCJE&Mの影響力というのはそれはそれは大きいわけで、「卒業生の就業機会提供」という一言が光り輝いて見えるはずです、映画界を目指す若者たちの目には。釜山国際映画祭のキム・ドンホ前委員長を招聘してるとなれば、なおさら。釜山国際映画祭をあれだけの映画祭に育て上げた人が、名前だけのお飾りに納まるとは考えにくいです。国際的な人脈の活用を期待しちゃいますね、映画界を目指す若者たちは。

 この新しい大学院が「映画コンテンツ」を看板に掲げてるのも気になります。どんなカリキュラムを組むのでしょう。どんな教授陣で、どんなカリキュラムで開講して、どんな人材が集まるのか。数年後にどんな人材を輩出していくのか。
 今後の展開から目が離せません。

2011-06-23

[記事]独立映画『番人』、2万人突破

 この映画、2万人というのは意外です。地味ですが、良い映画。日本でも評価されると思います。




独立映画『番人』、観客2万名突破
 2011.06.19 JTNニュース

 ユン・ソンヒョン〈윤성현〉監督の独立映画『番人〈파수꾼〉』が観客2万名を突破した。

 配給社によれば、『番人』は、18日全国観客2万45名を動員した。先の3月3日に公開した後、観客の地道なクチコミに力を得て、長期上映中だ。

 独立映画として観客2万名突破は、たいそう成功した興行結果だと言うことができる。

 これにより、ユン・ソンヒョン監督を始め、イ・ジェフン〈이제훈〉、チョ・ソンハ〈조성하〉、ソ・ジュニョン〈서준영〉、パク・チョンミン〈박정민〉等、俳優たちは、17日にソウル・光化門シネキューブ〈광화문 씨네큐브〉で開かれた「2011 韓国芸術映画の星たち〈한국 예술영화의 별들〉」特別上映で一緒に映画を観覧し、観客との時間を持った。

 10代のねじれた友情を描いたこの映画は、昨年「第15回プサン国際映画祭〈부산국제영화제〉」ニューカレンツ(new currents)賞を始め、「第22回ブラックムービー映画祭〈블랙무비영화제〉」で若い審査委員賞、「第35回香港国際映画祭」で国際批評家協会賞等をさらっている。





 3月10日にソウルで見ました。静かな映画ですが、余韻が長くて。次にソウルへ行った時にも上映が続いていたら、再見したい作品です。先日、「真!韓国映画祭」で上映された『坡州(파주)』が気に入った方は、この『番人』も気に入るのではないかな。

 3人の男子高校生役、イ・ジェフン、ソ・ジュニョン、パク・チョンミンはこれからの役者ですから、先物買いする楽しみもあり。

 謎解きの要素がある作品なので、詳細なあらすじは書けませんが……、Daumに載るものを日本語訳しておきます。関心ある方はソウルでぜひご覧下さい。現在はシネキューブ光化門(씨네큐브 광화문)で上映中です。

 Daumに載るあらすじ
     ・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆
 一人の少年が死んだ。日頃息子に無関心だった少年の父(チョ・ソンハ)は、息子の突然の空白にひどく混乱し、遅れた罪責感と無力感から、息子キタ(イ・ジェフン)の死について調べ始める。息子の机の引き出しに大切にしまってあった写真の中には、ドンユン(ソ・ジュニョン)とヒジュン(パク・チョンミン)がいた。しかし、学校を訪ねてやっと知り得た事実は、一人の少年は転校し、一人の少年は葬式に来もしなかったということ。何かおかしい。
 そんな中、ようやく探し出したヒジュンは、「キタと一番親しかったのはドンユン」と話し、詳しい答えを避ける。結局、父の頼みでドンユンを探し始めたヒジュン。しかし、学校を辞めて去ってしまった友人はどこにもいない。

 天真爛漫で純粋だったあの頃。未熟な意思疎通の誤解が呼び起こした悲劇的な破局。独断的な友情がもたらした暴力とその傷の伝染は私たちを苦しめ、衝撃的な結末へと導く。

 互いがすべてだったこの3人の友の間ではたして何が起こったのだろうか?
     ・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

 実は、なぜ「番人」というタイトルなのか、よく分かってないです。あぁ、もう一度見たい。

2011-06-20

[日録]多忙で居眠り 6/18

6月18日(土)

◇韓国映画講座。春期の最終回です。前回、前々回とキム・ギヨン監督の『下女』3部作、『高麗葬』と暗め重めの作品が続いたので、最後は明るい内容にしたくて、私が特に好きな韓国映画の一つ『ラジオスター』を取り上げました。

 受講生の方々の中にもこの作品が大好きという方がかなりいらして、嬉しかったです。

◇講座の後、恒例の打上げランチ。大学近くの「チェゴヤ」にて。私を含めて14名とかなり大人数でしたので、自然と4~5人のグループに分かれてのおしゃべりになったのですが、どのグループでも相当に話が盛り上がっていたようで。韓国映画はもちろん、韓国ドラマ、ミュージカルや演劇、さらには韓国グルメや旅行の話まで。2時間以上たっぷり皆で楽しみました。
 講座もランチもお陰様で楽しい時間となりました。(^^)

◇帰り際のお話で初めて知ったのですが、今回の講座、小田原から毎回ご参加下さった方がいらっしゃいました。びっくりすると同時に、ただただ有り難いばかりです。その熱意と行動力には自ずと頭が下がりました。皆さん、時間を割いてわざわざ私の話を聞きにいらして下さってるわけで、秋期の講座はもっと充実させなくちゃ、と思いました。

◇夕方、韓国映画が好きで将来その方面の仕事がしたいという学生さんとお話。

◇夜、天王洲アイルへ移動。銀河劇場で坂東三津五郎出演の『G.G.R~グレンギャリー・グレン・ロス』鑑賞。が、途中でうとうとしてしまい、肝心の場面を見逃したような。三津五郎が大きな契約を取ってきて、え?その後どうなったの?

1000000780

◇朝の4時まで講座の準備をしていて、睡眠3時間。朝から講座やって、打上げランチして、学生の相談に乗って、芝居見に行って……いろいろ無理ですよねぇ、このスケジュール。

2011-06-18

[日録]韓国映画2本 6/16

6月16日(木)

◇朝イチでゼミ1コマ。

◇終わるとすぐに新宿へ。ランチタイムに居座って仕事するため、椿屋珈琲店でランチ。

1000000777

◇K's cinema で「真!韓国映画祭」で上映される『坡州(파주)』と『キュレーター、ジョンフンさんの恋愛日記(여덟 번의 감정、8番目の感情)』の2本を鑑賞。

◇『坡州』は、妻の妹を愛した男、姉の夫を愛した女の物語。二人を結びつけた妻=姉は死んでおり、二人の心には愛、誤解、疑惑と様々な感情でさざ波が立っている。過去と現在が交錯しつつ物語が進んでいくので、出来事の前後関係をふと錯覚しそうになったりするのだけれど、ひょっとするとそれも監督の計算の内なのかもしれないと思わせるような作品でした。何かが心に引っかかって残る映画。

◇『キュレーター、ジョンフンさんの恋愛日記』、ギャラリーのキュレーターであるジョンフンは、気まぐれで結婚に不向きな男性。調子よくて、ふらふらしてて、実際身近にいたら大っきらいなタイプの男ですが、キム・ヨンホ演じるジョンフンがそれはそれは魅力的で。





2011-06-07

[日録]真!韓国映画祭 6/5

6月5日(日)

◇7時に目が覚めたものの、二度寝して9時起床。寝坊して、う~ん、幸せ。

◇昼過ぎから、新宿 K's cinema で「真!韓国映画祭2011」の上映作品『ソウルのバングラディッシュ人』『小さな池』の2本を鑑賞。

◇『ソウルのバングラディッシュ人』、女子高生とバングラディッシュ人の外国人労働者とがふとしたことから知り合いになり、次第に心が通じていくという物語。題材と設定は面白いのだけど、全体の満足度は今ひとつ。期待が大きすぎたかな。
 同様のテーマでは、大学路の小劇場ミュージカル『洗濯』の方が完成度高いですね。

◇『小さな池』は、1950年7月、朝鮮戦争当時、米軍が韓国民間人を虐殺した老斤里事件という実話の映画化です。ソウルで見ているので、2度目の鑑賞。展開が分かっているだけに、状況が掴めないまま避難しようと右往左往する村人たちの姿に心が痛みます。以前見た際、これは演劇人の作った映画だなぁと思ったのですが、そのことを再確認。演劇ではできないことを存分に撮ってる映画なのですよね。長いこと隠されていた歴史の真実に迫るという意義のある作品なのですが、そのこと以上に、一連の出来事の見せ方がうまい。事件がなぜ起こったのか、いかに残忍なものであったか、どれほど馬鹿げたことであったか、見る者に考えさせる映画となっています。

◇仕事場に帰還して、学生の作文添削。

◇ブログ更新。最近は週末更新がやっとです。平日は時間取れなくて。

◇さぁ、明日からまた早起きして仕事です。

2011-04-23

[記事]映画人のアジト復元

 忠武路を再び映画の中心地として盛り立てようという事業のニュースです。




「映画人のアジト」、忠武路のスター・青麦茶房復元
 聯合ニュース 2011.04.18

 1960~70年代、映画人たちのアジトかつ書斎の役割を果たしたソウル・忠武路〈충무로〉のスター茶房〈스타다방〉と青麦茶房〈청맥다방〉が復元される。

 ソウル市中区は、忠武路のスター茶房と青麦茶房を復元、韓流スターや映画人たちに運営を任せ、その収益金全額を映画人のために活用することができるようにする計画であると18日明らかにした。

 また、映画人たちのファンへのサイン会をここで開催し、市民たちが茶房に立ち寄って韓流スターに会うことができるようにする方針だ。

 今回の復元事業は、先月末、文化体育観光部〈문화체육관광부〉が忠武路一帯を韓流と観光を連携した「韓流スター通り〈한류 스타의 거리〉」に指定したことと関連し、区庁が独自に用意した忠武路活性化対策の一環だ。

 忠武路3街にあったスター茶房は、映画業界人と俳優志望者で混み合った所だったが、1980年代中盤に忠武路の映画製作業界が江南へ移ったため、1986年閉店した。

 スター茶房の近くにある青麦茶房は、主に映画監督たちの書斎の機能を果たしていたが、やはり映画製作業界人たちの江南移動により、80年代初めに閉店した。

 中区は、2008年からスター茶房の前の道250m区間について、5億ウォンの予算を組んで各種電線を地中化するなど整備事業を行ってきた。

 中区は今後、この道を市民たちが気楽に行き来することができるように歩道を拡張し、看板もすっきりと整備する計画だ。

 特に、近くに位置する印刷・出版会社を誘導して文化・観光施設へ業種変換させることにした。

 キム・ヨンス〈김영수〉中区庁長権限代行は「忠武路が映画の中心地として以前の名声を取り戻すことができるように、文化体育観光部、ソウル市と共に多様な事業を推進する計画だ」と話した。

 一方、文化体育観光部は、約50億ウォンの予算をかけて、忠武路一帯に韓流スターのハンドプリンティングと造形物、韓流テーマ館、3D韓流映像館等の施設を作り上げ、「韓流スターの街」を造成することにした。





 リンク先の記事原文に掲載されている忠武路の地図をここでも紹介しておきますね。

Agit

 この地図と照合すると、記事の内容が分かりやすくなります。

 文化体育観光部は、忠武路駅から乙支路3街(을지로3가)駅にかけての南北の道を「韓流スター通り(한류 스타의 거리)」とするために、韓流スターのハンドプリンティングや韓流テーマ館などを作る事業を推進している。この政府レベルのプロジェクトと関連付けて、ソウル市中区はスター茶房、青麦茶房を復元し、茶房の前の東西の道を整備して「忠武路映画通り(충무로 영화의 거리)」という名所にしようとしている。そういうことですね。

 忠武路が映画の街になるのは嬉しいことで、スター茶房や青麦茶房の復元は楽しみです。復元されたらぜひ訪問してみたいです。
 その一方で、忠武路に「韓流スターのハンドプリンティング」とか「韓流テーマ館」を作るとなると、それはちょっと違うような……という気がします。今、韓流スターと呼ばれる俳優たちの多くは、韓国の映画製作が忠武路から江南へ移動した後の作品で世に出てきた人たちですから。韓流スターに焦点をあてた施設や名所なら、江南に作るのが相応しいように感じられるのですね。
 映画製作の街・忠武路って、ある種のノスタルジーなのかな。

 これまで、韓国で「韓流スター」を売りにして成功した施設はないと思うので(韓流百貨店を始めとする新大久保の韓流グッズ店の方が盛況だと思う…)、「韓流スター通り」がどのような所になり、どのような成果を収めるのか、注目ではあります。
 もしかしたら、政府とソウル市中区がターゲットとして想定している「韓流ファン」は、日本人でなく中国人なのかもしれませんしね。そのへんも含めて要注目のプロジェクトです。

2011-04-21

[記事]カンヌ映画祭招請作品

 来月に迫ったカンヌ国際映画祭の話題です。開催期間は5月11日~22日。




韓国映画2編、カンヌ批評家週間に招請される
 聯合ニュース 2011.04.19

 イ・テホ〈이태호〉監督の『家の中で〈집 앞에서〉』など韓国映画2編が来月11日開幕するカンヌ国際映画祭の批評家週間短編部門に招請された。

 19日、批評家週間HPによれば、イ監督(KAI 韓国芸術院〈KAI 한국예술원〉)の『家の中で』とムン・ビョンゴン〈문병곤〉監督(中央大〈중앙대〉)の『不滅の男〈불멸의 사나이〉』が全部で10編招請された短編部門に進出した。

 7編が選ばれる長編部門には1編も進出できなかった。

 今年で50回を迎える批評家週間は、監督週間とともにカンヌ映画祭のオフィシャルコンペティション部門と別に運営されるセクションで、映画を1~2回製作した新人監督を対象にしたセクションだ。

 監督週間に進出した韓国映画はないものと伝えられた。

 これにより、今年のカンヌ映画祭には、ホン・サンス〈홍상수〉監督の『北村方向〈북촌방향〉』、ナ・ホンジン〈나홍진〉監督の『黄海〈황해〉』、キム・ギドク〈김기덕〉監督の『アリラン〈아리랑〉』の3編がある視点部門に、ソン・テギョム〈손태겸〉監督(中央大)の『夜間飛行〈야간비행〉』が学生短編コンペティション部門であるシネフォンダシヨンに、『家の中で』と『不滅の男』が批評家週間に招請され、全部で6編が進出した。





 昨年のカンヌ国際映画祭では、イム・サンス(임상수)監督の『下女(하녀)』とイ・チャンドン(이창동)監督の『ポエトリー(시、詩)』がコンペ部門に出品され、『ポエトリー』が脚本賞を取りました。それと比べると、今年はやや物足りない感じですね。
 ただ、このところの韓国映画はちょっと変わった作風の小粒の作品が面白いので、「ある視点部門」や「批評家週間」への進出が主となるのは、最近の傾向を反映しているかなとも思います。

 今年のカンヌに関しては、ポン・ジュノ(봉준호)監督が黄金カメラ賞の、イ・チャンドン監督が批評家週間の審査委員長に選ばれたことも話題になっています。
 どちらも大好きな監督さんで、どんな作品を選出するのか注目してます。この二人が選んだ作品はどこの国のものでも見てみたいものです。見られるといいなぁ。

 韓国映画を見始めてから、カンヌが10倍楽しみになりました。

 日本の作品は、三池崇史監督の3D時代劇『一命』、河瀬直美監督の『朱花(はねづ)の月』がコンペ部門に出品されてます。この2作品も早く見たいなぁ。市川海老蔵主演の『一命』は小林正樹監督『切腹』(1962)のリメイクです。キム・ギヨン(김기영)監督の『下女』(1960)をリメイクした、昨年のイム・サンス監督『下女』と同じパターンですね。

2011-03-22

生涯学習講座「韓国映画の楽しみ」

 まだ間に合うようなので、再度お知らせです。
 すでにお申し込みいただいてる方は、恐れ入りますが、お手続き完了下さいますようお願い申し上げます。




 2010年度に続きまして、2011年度にも清泉女子大学の生涯学習講座で「韓国映画の楽しみ」という講座を担当いたします。
 元・居住者の視点から作品の背景にある文化や生活に触れながら韓国映画の楽しさをお伝えてしていきたいな、という講座です。
 春期全6回(4/16 5/7,14,28 6/4,18)、土曜の午前10時40分~12時10分です。

 講座内容の説明はこちらにあります。

「韓国映画の楽しみ-日韓比較文化の視点から-」

 申し込み方法等は、清泉女子大学「ラファエラ・アカデミア」のサイトをご覧下さい。

 和気藹々とやってます。
 韓国語ができなくても、韓国映画を見始めたばかりでも、全く問題ありません。
 「ブログを見て」「Twitterで知って」という方もいらして下さってます。

 皆さまのお越しを心よりお待ちしております。(o^-^o)

☆関連記事
2011年度「韓国映画の楽しみ」講座

2011-03-05

[記事]統合CJ E&M 発足

 先月末に出た記事です。韓国は3月1日が年度始めになりますので、この手のニュースは2月末に出てくるのですね。




統合CJ E&M、明日(1日)発足
 ドラマ-アニメ事業にも進出予定
 アジア経済 2011.02.28

 CJ E&Mが3月1日公式に船出する。

 この15年間に文化事業へ1兆5000億ウォン以上を投資したCJが、国内最初に放送と映画、音楽、公演、ゲームコンテンツを融合する統合法人を公式に発足させる。

 CJ E&M(Entertainment & Media)は、放送分野のCJメディア〈CJ미디어〉とオンメディア〈온미디어〉、映画分野のCJエンターテイメント〈CJ엔터테인먼트〉、音楽のエムネットメディア〈엠넷미디어〉、ゲームのCJインターネット〈CJ인터넷〉がオメディアホールディングス〈오미디어홀딩스〉として合併して誕生した。

 統合CJ E&Mは、「放送事業部門」「映画事業部門」「音楽/公演事業部門」「ゲーム事業部門」の4つの部門に再編される。「放送事業部門」は既存のCJメディア、オンメディア・チャンネル以外にエムネットメディアのMnet、KMチャンネルを吸収して運営する。また、CJエンターテイメントとエムネットメディアが個別に運営していた公演事業は「音楽/公演事業部門」として統合される。
��略)

 CJ E&Mは、2015年1兆ウォンに肉薄するグローバルな売上を目標とし、2015年売上目標の3兆1070億ウォンの内30%に該当する9300億ウォンの売上を海外で上げる計画だ。

 このため、映画事業部門は、現在の国内投資、配給中心から製作力量を強化する方向へ事業構造を再編していき、これも基にグローバル製作を活性化して規模を拡大、収益性を極大化するという計画だ。特に、新たな成長の動力として、地域や年齢に関係なく共感できるアニメーションの制作事業にも進出する予定である。
��略)

 CJ E&Mはまた、今回の統合法人出帆を契機として、放送、映画、音楽、公演、ゲーム等、多様なコンテンツを一つのプール(Pool)として製作し、シエナジーを極大化する。

 また、今回の統合を契機に、コンテンツ・ハブ事業を新たに始める。デジタルケーブルTV、IPTV、スマートフォンなど多様なニューメディアでデジタルコンテンツを楽しめるように、流通構造を革新するもの。

 去る2006年の初演以来最近までに36万人の観客動員をした創作ミュージカル『キム・ジョンウク探し〈김종욱찾기〉』が、昨年映画になったように、CJ E&Nの源泉コンテンツを多様な接点から消費者が出会えるように企画、製作に乗り出す。現在、『無作法なヨンエさん〈막돼먹은 영애씨〉』『スーパースターK〈슈퍼스타K〉』などのようなTV番組を公演や映画、ゲームコンテンツとして製作するための作業を進行中だ。

 CJ E&Mはまた、新規事業拡大の一方案として、大規模ドラマ事業を展開する計画だ。CJ自主チャンネル〈CJ 자체 채널〉に供給するドラマにとどまらず、他の媒体・チャンネルに販売することができるミニシリーズ等、多様なドラマを製作する力量まで次第に拡充していくという構想だ。

 CJE&M関係者は、「統合元年の今年、売上1兆3970億ウォン、営業利益は1550億ウォンを目標にしているが、毒にグローバル事業の売上は総売上の10%を越えることになるだろう」とし、「急激に変わっているメディア市場の変化に合わせて、競争力あるコンテンツを製作し、これをグローバル化することで新たなコンテンツ韓流の模範事例を作り、2015年貢ローバル売上の比重が30%を越えて1兆円に達するだろう」と話している。





 韓国ではもう数年前から、劇場公開される大半の映画にCJエンターテイメントが関わっているという状況が続いています。さらに、この2~3年で、ミュージカルや演劇などの公演にも積極的に進出するようになっていて、大学路の小劇場の芝居でもCJエンターテイメントが製作に名を連ねてるケースが増えてきていました。

 映画はやや頭打ちの感がありますが、公演に関しては市場が拡大しつつある時期ですから、資本力のあるCJが事業拡大して影響力を強めてくるのは自然の成り行きです。
 これまでのところ、CJのエンタメ進出はビジネスとして成功していますし、観客の立場からも良い作品の投資・製作に関わっているように見えます。しっかり稼いで、良い作品作ってほしい、とは思います。

 その一方で、映画や公演の市場でCJが独占的な立場を占めるのは決して望ましいことではなく、やはりいろいろな会社が競い合う中から多様な作品が出てきてほしいわけです。ミュージカルについては、現在他にも有力な製作会社がありますが、CJは今後専用劇場で本腰を入れてミュージカル製作に進出してくる見通しで、今後の事業展開から目が離せません。以前ちらっと触れましたが、CJが大学路に建設中の大・中・小3つの劇場を備えたミュージカル専用劇場に対して、「小劇場は演劇専用にしてほしい」と主張する大学路の演劇関係者がいるのも、市場の拡大に伴って、大劇場志向、ミュージカル志向に傾く公演界全体の動向を憂いてのことです。 

 話のついでに書いておきますと、公演チケット販売はインターパーク・チケット(인터파크 티켓)の独占に近い状態となりつつあり、これを苦々しく思っている演劇関係者も少なくありません。

☆関連記事
[記事]2011年ミュージカル専用劇場が続々

2011-03-04

韓国映画講座のお知らせ

 申し込み締切が近づいてるようなので、再度お知らせです。

 2010年度に続きまして、2011年度にも清泉女子大学の生涯学習講座で「韓国映画の楽しみ」という講座を担当いたします。
 元・居住者の視点から作品の背景にある文化や生活に触れながら韓国映画の楽しさをお伝えてしていきたいな、という講座です。
 春期全6回(4/16 5/7,14,28 6/4,18)、土曜の午前10時40分~12時10分です。

 講座内容の説明はこちらにあります。

「韓国映画の楽しみ-日韓比較文化の視点から-」

 申し込み方法等は、清泉女子大学「ラファエラ・アカデミア」のサイトをご覧下さい。

 和気藹々とやってます。
 韓国語ができなくても、韓国映画を見始めたばかりでも、全く問題ありません。
 「ブログを見て」「Twitterで知って」という方もいらして下さってます。

 皆さまのお越しを心よりお待ちしております。(o^-^o)

☆関連記事
2011年度「韓国映画の楽しみ」講座

2011-03-03

角川シネマ有楽町1000円

 先日、有楽町をふらふらしていて、こんな看板を見つけました。

 ビックカメラ有楽町本店の8階にオープンした「角川シネマ有楽町」、オープン記念で3月18日まではビックポイントカードまたはビックカメラSuicaカードを提示すれば、当日券が1,000円になるそうです。

Kadokawac

 オープン記念の期間は、『戦火の中へ(포화속으로、砲火の中へ)』を上映してます。昨年2010年、朝鮮戦争60年に合わせて製作された映画です。
 監督はイ・ジェハン(이재한)、出演はチャ・スンウォン(차승원)、クォン・サンウ(권상우)、チェ・スンヒョン(최승현、T.O.P)、キム・スンウ(김승우)、キム・ヘソン(김혜성)等。

 これ、未見なので、オープン記念価格で見てこようと思ってます。

2011-02-23

観劇観覧作品リスト(後半)

 日録と重複しますが、ソウルで見たものリスト、後半分をあげておきます。前半分はこちら

2月19日(土)
映画『へファ、ドン』
映画『朝鮮名探正』
演劇『禿の女歌手』
演劇『お日様が沈んで、お月様を抱いて』

2月20日(日)
映画『子供たち』
演劇『老いた泥棒の話』

2011-02-15

[記事]映画人の労働条件

 韓国の映画人の労働実態調査に関する記事です。




年間5ヶ月働き、1千万ウォン稼ぐ
 ヘラルド経済 2011.02.08

 平均作品1.45本の作品に参加
 71%は兼業で収入充当

 予想外に劣悪な処遇
 熟練した人材離脱加速化

 最近、ある無名シナリオ作家が生計難に苦しみながら病苦と飢餓で死亡し、映画界の悲哀を感じさせている中、映画人たちの劣悪な労働条件を見せつける調査結果が発表された。

 映画振興委員会〈영화진흥위원회〉が去年8~9月にインターネットのアンケート及び撮影現場、映画会社訪問を通して、400名(回答 304名)を対象に調査した結果、1年間に映画人らの参加する作品は平均1.45本、雇用期間は5.27ヶ月、賃金は1013万ウォンと明らかになった。これは前年度 2009年の映画産業協力委員会〈영화산업협력위원회〉が調査発表した「参加作品1.64本、雇用期間6.35ヶ月、年俸1221万ウォン」よりすべて減少した数値であり、韓国映画が製作コストを削減して映画人たちの平均的な労働条件が悪化したものと分析された。映振委は映画人たちの福祉実態調査と国内外の芸術家の関連福祉制度を検討し、映画人たちの失業期間の生活支援及び引退後の老後の備えのための相互扶助案を見出すべく、こうした内容を盛り込んだ研究報告書「映画人共済会設立及び運営案〈영화인 공제회 설립 및 운영 방안〉」を最近発表した。

 映振委の調査対象には、主演から助演・端役、代役など演技者と映画会社代表や演出、撮影、照明、録音など各分野の監督・チーム長級から見習いまで、スタッフがすべて等しく含まれている。全体の71.2%は、映画界の活動以外の経済的活動を通じて不足する収入を充当している。結局 3人中 2人は「兼業族〈투잡족、TwoJob族〉」となる計算で、去る 2008年に調査した韓国映画産業従事者総 1万9098名を基準に推算すれば、「専業」映画人は 6000名に満たない。演技者(俳優)を除いた映画人たちの年俸はさらに劣悪で、850万ウォンと調査され、その中でもチーム長級以下の映画スタッフの収入は687万ウォンだった。最近国税庁が発表した資料によると、2009年演技者(タレント・俳優)の年平均収入は3300万ウォンとなっている。報告書は、「映画界の劣悪な処遇により、力量のある熟練した人材が映画製作の現場から離れている」とし、公的支援とともに打ち立てる映画人共済会の各種相互扶助制度の必要性を訴えた。





 具体的な数値が出ているので全文翻訳してみました。

 俳優を除いたスタッフの平均収入は850万ウォン。一ヶ月約70万ウォンです。お金をかけずに暮らせる韓国といえども、さすがにこれでは暮らしていけません。映画関係の仕事してるなら、首都圏に住まいが必要でしょうし。アルバイト抱えて「TwoJob」せざるを得ない状況です。
 「共済会」や「相互扶助制度」の案が出てるってことは、映画スタッフの相当数が会社に所属していないフリーの立場か、雇用されていても厚生年金や失業保険に加入できない弱い立場、ということですね。
 仕事の性格上やむを得ないこととはいえ、1年の内仕事がある期間が5ヶ月ちょっとというのは、経済面だけでなく精神的にもキツイでしょう。

 韓国と日本、同じ業種の同じような条件の仕事であれば、単純な金額比で、韓国は日本の50~70%程度の収入になるだろうと思います。日本で年収500万円の仕事なら、韓国では3400~4700万ウォン(250~350万円)。個人的な見聞をベースとした推測値です。(世界のSamsungは別ですよ。)
 韓国の映画スタッフの平均年収850万ウォンは、単純に日本円に換算して63万円。日本の感覚では90~126万円相当という計算になります。一ヶ月7万5000円~10万5000円。若くて独り身の間はしのげても、結婚とか親の老後とか、人生設計を考え始めたら苦しいですね。キャリアを積んだ人材が映画の製作現場から離れていくのも当然です。

 もっとも、同様の指摘は以前からいろいろな形で繰り返されています。正直「予想外」でも何でもない。

 もう5年ぐらい前になると思いますが、韓国で観客動員が1000万人前後に達する大ヒット映画が次々出てきた頃、製作会社と出演俳優の間で「ランニング・ギャランティ」の契約を結ぶケースが増えて、話題になりました。「ランニング・ギャランティ」は、予め決めた数字以上の観客動員を果たした場合、その分の追加ギャラが発生するという、出来高を取り入れた契約です。
 その時にも、「ランニング・ギャランティ」契約によって興行成績に応じた応じたギャラを受け取れるのは主演級の俳優だけで、製作スタッフはヒット作の製作に貢献しているにも関わらず、その恩恵にあずかれない点が問題として指摘されていました。元々多額のギャラをもらっている俳優がさらに追加ギャラを受け取り、低賃金で働くスタッフには何もなしというのは、おかしいのではないかと。

 度々の指摘にも関わらず、スタッフの待遇は改善されていないどころか、悪化しているわけです。その点は「予想外」かもしれません。
 日本でも映画や演劇の現場では同じような傾向があるだろうと思いますが、韓国は、職業や社会的地位による収入格差が日本よりずっと大きい社会なので、より厳しい状況になりやすいのです。

2011-02-10

2011年度「韓国映画の楽しみ」講座

 ちょこっとお知らせです。

 2010年度に続きまして、2011年度にも清泉女子大学の生涯学習講座で「韓国映画の楽しみ」という講座を担当いたします。
 元・居住者の視点から作品の背景にある文化や生活に触れながら韓国映画の楽しさをお伝えてしていきたいな、という講座です。
 春期全6回(4/16 5/7,14,28 6/4,18)、土曜の午前10時40分~12時10分です。

 講座内容はこんな感じです。

「韓国映画の楽しみ-日韓比較文化の視点から-」

 申し込み方法等は、清泉女子大学「ラファエラ・アカデミア」のサイトをご覧下さい。

 2010年度の秋期講座を受講された方は15名ほど。韓国映画大好きな皆さんで、毎回、和気藹々と楽しい雰囲気でした。
 最終回の後の打ち上げにもほとんどの方がご参加下さって、韓国料理店でランチしながら韓国に関する様々な話題で盛り上がりました。

 2010年度秋期講座で取り上げた作品は、『バンジージャンプする(번지점프를 하다)』、『王の男(왕의 남자)』、『箪笥(장화, 홍련)』、『カンナさん大成功です!(미녀는 괴로워、美女はつらいの)』、『ペパーミント・キャンディ(박하사탕、ハッカ飴)』、『牛の鈴音(워낭소리)』でした。

 『箪笥』の元になっている韓国の古典小説『薔花紅蓮伝(장화홍련전)』、『王の男』の原作『演劇 爾(연극 이)』、『ペパーミント・キャンディ』と同じ光州事件を扱った演劇『ちゃんぽん(짬뽕)』などのお話ができて、私としても楽しい講座でした。
 また、ドキュメンタリー『牛の鈴音』と関連して、長期の獄中生活を送った後に韓国で生活する「北のスパイ」を記録した『送還日記(송환、送還)』、ムーダン(=シャーマン、巫女)を見つめたドキュメンタリー『영매(霊媒)』をご紹介できたのも嬉しかったです。

 2011年度も、日本でも公開された人気作品、見る機会の限られた作品、昔の作品、韓国最新公開作、いろいろな作品をご紹介していく予定です。