◇朝イチで非常勤先のゼミ1コマ。学生が要領を掴んできたのか、発表内容が充実してきました。この大学はセメスター制を採用してないため、1年間の通年ゼミ。学生の成長が楽しみです。
◇半蔵門へ移動して、国立小劇場で文楽公演昼の部。20分ほどの遅刻で、『源平布引滝(げんぺいぬのびきのたき)』「竹生島遊覧の段」の途中から。朝イチで授業やってから11時開演の芝居を見ようというスケジュールがそもそも無理なのですが、文楽昼の部はここしか時間が取れなかった……。ごめんなさい。次回はもっと早く切符の手配をしなくては。
席につくとすぐに呂勢の小まん、清治の三味線に引きこまれて、芝居の世界へ。注目の成長株つばさの「矢橋の段」が聞けなかったのが残念でした。
◇今月は、竹本綱大夫改め九代目竹本源大夫、鶴澤清二郎改め二代目鶴澤藤蔵という襲名披露の公演でもあります。披露口上があり、披露狂言は「実盛物語の段」。
但し、新源大夫体調不良で、源大夫が語るのは前半だけ、後半は英の代役となりました。同じ襲名披露だった先月の大阪公演で代役の英が全段語ったことを思えば、東京はまだマシなわけですが、それにしても当人が芸をきっちり披露できない襲名披露はいただけません。襲名を延期するのが筋ですよね。そうは行かない事情がいろいろあったのかもしれませんが。

◇文楽終演後、半蔵門駅近くのベジレストランで中途半端な時間のお食事。

◇劇場へ戻って、今度は大劇場で前進座創立80周年公演『唐茄子屋』「口上」『秋葉権現廻船噺』を見物。
落語でお馴染みの『唐茄子屋』は、前半、伊勢屋の倅徳三郎(嵐芳三郎)とおじさん(村田吉次郎)・おばさん(いまむらいずみ)のやりとりが、菊五郎劇団の世話物を見慣れた目にはまだるっこしく。芝居のテンポが、良く言えばゆっくり、悪く言えば間延びしてるのですね。ところが、後半、誓願寺裏の貧乏長屋の場になると、この劇団のアクの強さが人情の濃さに通じて、泣かせる芝居になりました。
「口上」は、中村梅之助、嵐圭史が劇団の歴史を語り、主だったメンバーの顔見せ。
お目当ての『秋葉権現廻船噺』、遠州月本家のお家騒動に日本駄右衛門という盗賊を絡めた話。2時間ほどに手際よくまとめられていました。プログラムに載る序幕が「預り」となってましたが、上演時間の都合でしょうか。
この劇団、一時期と比べて歌舞伎の腕が上がってると思いました。嵐芳三郎、河原崎國太郎、高橋祐一郎といった若手の芝居が歌舞伎になってます。なかなか立派。
ただ所々に残念な部分もありました。一例として、大詰どこかだの(後で調べます)山中の場。背景の書割は岩と山で茶色ぽいのに、ここに勢揃いする主な登場人物の衣装が、皆、茶系の唐織の裃。役柄にふさわしい豪華な衣装ではあるのですが、保護色になっちゃってる。そこへ中村梅之助演じる久留米信濃之助は、長袴を引きずって登場。山中で長袴って……裾がズタボロですってば。
この芝居、松竹の役者でも見てみたいと思いました。国立で通し狂言やらないかな。
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