『新皿屋舗月雨暈』の序幕「弁天堂の場」には猫が登場します。木の陰から顔を出したり、人にじゃれついたり、人形を差し金で遣ってるのですが、ちゃんと猫らしい動きをしていて可愛かったです。
新橋演舞場『独道中五十三駅』の「岡崎」にも猫が登場してました。天井から釣られた操り人形でしたが、器用に踊る様子がこれも不思議と猫っぽかったです。
今月は猫の人形の当たり月なんでしょうか? 歌舞伎座『元禄忠臣蔵』には、猫、出ませんよね……。
3月8日(日)11時30分
国立大劇場
3階8列3番
副題は「お蔦殺しと魚屋宗五郎」。タイトル通り、前半は、旗本磯部主計之助が讒言を信じて酒の勢いで愛妾お蔦を嬲り殺しにしてしまう話、後半は、魚屋の宗五郎が酒の勢いで妹を殺した殿様の屋敷へ乗り込む話。通して上演すると、旗本と魚屋、上下の酒乱を見せるという趣向がよくわかる芝居です。
若手中心の座組ですが、健闘してたと思います。
前半は、敵役の亀蔵が全体を引き締めて印象に残りました。さすが、この座組に入ると抜きんでますね。
松緑(宗五郎)の酒に酔って乱れていく演技、よかったです。DV(ドメスティック・バイオレンス=家庭内暴力)を感じさせてくれた宗五郎は初めてかも。着物がはだけても足がむき出しにならないところなど、安心して見ていられました。難を挙げれば、酒を飲む前のセリフ回しがやや不自然に武張っていたこと。変化を際立たせようとしたのでしょうか。とは言え、初役でこれだけやってくれるとは。次回が楽しみです。
孝太郎(お蔦、宗五郎女房おはま)は やはり娘より年増 の方が 役に風情がでるようです。おはま、所帯やつれしたような世話じみた味があり、はまってました。この人も今後の老け役に期待してます。
梅枝(おなぎ)、お女中にしか見えない。すごい。今、リアルに女性っぽい女方では、芝のぶと双璧。
亀寿(三吉)はセリフの間が今ひとつ。この役は、もっと軽く、もっと切れのよい口調でやってほしいです。
友右衛門(磯部主計之助)、立派すぎない殿様で、実はこの芝居の役どころにはぴったりなのでは。大幹部の役者がやると、大名に見えちゃったりしますから。
家老は弥十郎で見たかったですが、これはないものねだりですね。彦三郎はセリフが固くて、宗五郎が眠りこけちゃった後のセリフで笑えなくて残念。
正味2時間半という上演時間もほどよく、心地よい芝居見物でした。
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