昨日(24日)の「渋谷駅周辺ぐるぐる彷徨」、ハチ公、モアイ像、バスターミナル、高架下の段ボールハウスと渋谷駅名所(?)を二巡した後にやっと方向が飲み込めて(一応安心して用事をすましてご飯食べて)、18時過ぎにたどりついた場所は、「劇場」じゃなくて「倉庫」でした。道理で聞いたことない「劇場」だったはずです……。
パラドックス定数第17項
「怪人21面相」
11月24日(祝・月)18時30分
渋谷 space EDGE
作・演出:野木萌葱
出演:植村宏司、十枝大介、西原誠吾、小野ゆたか
パラドックス定数 という劇団の公演。先月初めて見た「三億円事件」がとてもよかったので、今回も期待してチケット取りました。
期待に違わず面白かったです。「どくいり きけん たべたら しぬで」の文句で世上を騒がせた「グリコ・森永事件」に取材、「かい人21面相」と名乗った犯人たちの行動と背景を再構成してみせた舞台です。登場する四人の犯人は、食品会社の役員(植村宏司)、事情ありげな暴力団員(十枝大介)、元公安刑事(西原誠吾)、大手新聞の記者(小野ゆたか)という設定。四人四様の過去のトラウマや人生の重荷が物語の展開とともに次第に明らかになっていきます。
会場は倉庫にパイプ椅子ならべただけ。舞台は犯人たちが隠れ家としている一室という設定なのですが、客席の頭の上にロフトスペースがあり、役者さんたちは舞台上手の階段からロフトを通って出入りするという構造。観客の立場からすると、犯人たちは上手の階段から現れたり消えたり、その度に頭上で足音が響いて、ドアを開閉する音が聞こえ光が見える、という仕組みになっています。犯人たちは隠れ家の外で何をしているのか、どう振る舞っているのかと想像力を刺激され、効果的な演出です。
台本のリアルなセリフにスリリングな展開、腕のある役者さんたちのキレのあるセリフと動き。2時間、緊張感が途切れることのない舞台でした。ラスト30分の密度の濃さ、堪能しました。
実際の事件は犯人未逮捕のまま時効を迎え、その全容は解明されていません。なので、この物語のどこまでが事実で、どこからが虚構なのかを問うことにあまり意味はなく(タイトルも「かい人」でなく「怪人」としてますし)、むしろ、前回「三億円事件」同様、事実と虚構の狭間できっちりドラマを作り上げているところに魅力があります。
次回公演は来年3月末だそうで、今から楽しみ。
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