このところ朝晩の冷え込みが一段と厳しくて、もうすっかり冬ですね。
昨日(21日)は、江戸東京博物館 で「ボストン美術館浮世絵名品展」 を見てきました。
会期も残り10日足らずとなり、かなり混んでました。最終日に近づくほど混むのは展覧会の常ですから、もっと早い時期に行くつもりでいたのですが、会期中に展示替えがないというのでつい油断して出遅れました。
←江戸東京博物館HPから
借りてきました。
展示はすごいです。ボストン美術館の浮世絵コレクションは膨大なもので、出品作品の大多数が日本初公開。浮世絵の画集や図録などで目にしたことのある作品も多いのですが、実物は迫力というか、存在感が全然違います。
とにかく色が見事に残っているのがすごい。ボストン美術館のコレクションに限らず、幕末以降に海外へ流出して欧米のコレクターが所有した浮世絵は、保存状態が素晴らしく良いのですよね。浮世絵に対する態度の差と、気温と湿度という自然条件の違い。当時の日本人が浮世絵の価値に気づかず海外へ流出させてしまったのは残念ですが、一方で、高温多湿の日本で保管していたら、今回の展示品のような素晴らしい状態で現代に伝わることはなかったでしょう。むしろ「よくぞ流出させてくれた」と感謝したくなるくらい、見事な保存状態の作品がたくさんあります。
特にすごいと思ったのは、二代清倍の「(市川源之助と江戸七太夫)」という漆絵です。紅・黄・草色・墨の彩色が美しい。享保11年(1726)の作品で、300年近く前の浮世絵の色がこんなに繊細に残っているなんてねぇ。本当に「よくぞ流出させてくれた」ものです。ありがたや。
もう一つ感心したのは、広重の「東海道五十三次」の下絵や「江戸名所」の画稿が展示されていたこと。この手のものは存在が知られていてもなかなか見られませんから、貴重な機会でした。広重本人の画力の確かさが窺える絵です。
ところで。
会場で購入してきた図録をぱらぱら眺めながらこの文章を書いていたのですが、初代鳥居清信『風流四方屏風』の解説を服部幸雄氏が書かれているのに気づいて、一瞬ギョッとしました。でも考えてみれば、この展覧会は今年1月2日に名古屋ボストン美術館から始まった巡回展なので、図録も昨年末までにできてたのですね。書き下ろしだったらちょうど一年ほど前の原稿ということです。最後まで研究続けてらしたのだろうだなぁ、そういう先生だったもの。合掌。
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