坂東三津五郎出演ということで出向きました。三津五郎の現代劇を見るのは、2007年7月ダンダンブエノ双六公演「砂利」に続いて二度目です。
2009年7月14日(火)14時
新国立劇場小劇場 THE PIT
A席 D1列12番
作:坂手洋二
演出:鵜山仁
出演:坂東三津五郎、たかお鷹、村上淳、田中裕子
三部構成。第一部「頼政と鵺」。かつて鵺を退治した頼政が、宇治川で鵺の怨念とも思われる怪しい女と出会う。第二部「川向こうの女」。現代のある川辺で、男が昔別れた女に出会う。その川辺は、怪物が現れて子供を食べるという噂の場所だった。第三部「水の都」。現代のベトナムと思われるアジアの国で、行方不明の夫を探しにきた女と夫の仕事関係者である男、ガイドの現地人青年の三人が、夫ムラカミを探して地下の工事現場へ入って行く。
社会の中で虐げられ歪められた者が「鵺」となるという発想から、現代社会における敗北、裏切り、疎外、差別、貧困などが生み出した異形の鵺を描いています。
現代社会を穿つというような「社会性」の観点からは評価される作品かもしれませんが、演劇的表現は不十分に感じられました。能を意識しているのか、妙に抽象的で。
同じモチーフで小説を書けば、読みごたえのある重厚な作品、あるいは、斬新で尖鋭的な作品になりそうだと思いました。膨大なリサーチが必要でしょうけれど。
古典を踏まえた作品って、作者・演出家がバイアスのかかった解釈をするってことでもあるのですよね。古典を専門とする立場からは、自分のイイタイコトのために「鵺」を利用しないで、と思ったりも。
役者・坂東三津五郎の能力を十二分に見せてくれる舞台、見たいなぁ。
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