「三谷幸喜の新作」「SMAPの香取慎吾が主演」「ニューヨークで初演」と話題に事欠かないミュージカル。公演の公式サイトには、「日本オリジナル・ミュージカルがオフ・ブロードウェイで初の世界初演という偉業を果たし、待望の日本凱旋!」と謳われています。
韓国の「テグ国際ミュージカルフェスティバル」の努力と成果に注目してる私としては、舞台を観て、「これでオフ・ブロードウェイ行くのはズルいでしょ」と思いました。ズルも方便ってことは認めます。
観劇当日は、主演・香取慎吾の誕生日でした。それと知らずにチケット入手したのですが。誕生日にまつわるエピソードは先に書きましたので、こちらの記事 でどうぞ。
『TALK LIKE SINGING』
1月31日(日)16時
赤坂ACTシアター
2階D列14番
作・演出:三谷幸喜
作曲・音楽監督:小西康陽
出演:香取慎吾、堀内敬子、新納慎也、川平慈平
普通にしゃべろうとすると歌ってしまうターロウ(香取慎吾)。芝居は、ターロウを治療する精神医学者 Dr.ダイソン(川平慈平)が国際学会で彼の症状と治療成果を報告する、という形で展開します。ダイソンの発表報告の内容として、ターロウの幼少期からの「症状」と生活ぶりが寸劇風に実演される、という構成です。寸劇の中で、ターロウに興味を持つ言語学者(堀内敬子)と周囲の人々(新納慎也)が絡みます。
話す言葉が歌になってしまう、という主人公の設定を最初に聞いた時、面白そうだな~と思いました。登場人物たちが突然歌い出す「ミュージカル」というジャンルを逆手に取ってるわけで、大げさに言えば、「『ミュージカル』を相対化しちゃう『ミュージカル』を作ろう」という意欲的な挑戦とも取れる設定でしたから。
でも、舞台を観てみたら、この設定はNYで公演を打つための戦術だったのかなぁ、と。正直、ミュージカルとしてもコメディとしても、この設定が生きているとは言えないような。
主役の香取慎吾、歌も踊りもセリフも少ないのですが、ターロウの役を一生懸命演じていて、それゆえに、言葉が歌になっちゃう以外は平凡で不器用な青年ターロウの役柄にはまってました。
川平慈平。この舞台を支えているのは、彼のミュージカル俳優としての実力と英語力です。セリフの8割は川平慈平の英語。これには日本語字幕付き。
堀内敬子。歌と踊りとコメディの演技のバランスがとれているので、安心して観てられました。
新納慎也。トンがったキャラの役者さんで、魅力的。この人のダンスをじっくり観てみたいと思いました。
三谷幸喜という才能ある演劇人が、様々な制約の中でミュージカル仕立てのコメディを作ったらこんな作品になりました、という舞台でした。これだけの制約の下でこれだけの舞台を仕上げるのはすごいとも言えますし、これだけ制約あったらそもそもダメでしょとも言える芝居です。
それはそれとして。
香取慎吾って、体格もいいし、華があるし、舞台映えしますね~。カーテンコールで、あれだけ芸達者でアクの強い個性を持つ川平慈平が霞んで見えるほど、香取慎吾は大きくて華やかでした。こんな「華」を身につけたくて、日々努力している舞台俳優がどれほどいることか。
舞台の人にとっては魅力的な素材でしょう。三谷幸喜が香取慎吾をよく使う理由が少し分かったような気がしました。
一年間、SMAPとバラエティの仕事を休んで、舞台俳優としてのトレーニング積んでみたらいいのに……と思ってます。ホントに。
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ポルトガルプリン(1月31日)
慎吾ちゃんの柔軟性のある才能は三谷の好きとするところなのはわかりますが日本人うけ舞台だと思うなぁ。「オケピ」ぐらいの作品を期待していました
返信削除が・・・私は慎吾ちゃんは好きですが元々才能があって華がある人は手を抜くタイプが多く、舞台映えしないような頑張り屋が好きです(笑)
昨日は「カーテンズ」観てきました。好きでない鳳蘭の圧倒的な存在感と華、悔しい限りです。マルシアも無難。大澄賢也はトシとりましたね~相変わら
ず綺麗なダンスですが華がない。ヒガシ、問題外では?彼の得意とするダンスは少ないし、少年隊のようにスパンコールの衣装じゃくグレーのスリーピー
スだと存在感なし。歌はやっと20代の頃に比べたら歌えるようになってきた程度。時期ジャニーズ社長だから仕事は豊富ですがプレゾンで踊りのシーン
に定評があっても他のミュージカルでは華ないし、まだ芝居の方がいいのでは?
それより昨日昼に見たシネマ歌舞伎「方界坊」めち
ゃくちゃ面白かったです。歌舞伎ファンの方々がどう思ったか串田和美ワールド。自由劇場の時から観ているので何かなつかして匂いでした。しかも笹野
が出てますもの。やはり彼は劇場向き。自由劇場出てからテレビをやり始めた時あまりにも無駄な動きが多くて根っからの舞台の人だなぁ~これでやって
いけるのか?と不安でしたがここまで大きな存在に
なるとは想像もしませんでした。実は勘三郎の芸風が苦手でしたが、大喜利では圧巻で感動で涙が出て
しまいました。いいものを見せてもらいました。
川井さん
返信削除「華」って不思議ですよね。本人の努力で身につくものでもなく、華のある人に魅力を感じないこともあり。
このブログにいらっしゃる方は、地味な演技派、渋い脇役の役者さんを好む方が多そうです。(^o^)
『法界坊』、シネマ歌舞伎でご覧になったんですね。あれは演目自体がよくできた面白い作品ですし、串田和美演出の歌舞伎の中では、歌舞伎ファンの評価も高い方だと思います。
笹野高史さんって、テレビにも出てるんですか?(テレビドラマはほとんど見ないもので…) 最近の邦画で笹野高史が出てない作品はないんじゃないかってくらい、ご活躍されてますよね。
そう言えば、『上海バンスキング』の初日もそろそろですね。
勘三郎は器用な人でいろいろな「芸風」持ってますが、実力ある役者さんですから、川井さんのお好みに合う芸風の素晴らしい舞台もあると思います。
それにうまく巡り合うのが、なかなか難しいのですけれど。
呼びました?(=゜ω゜)ノ
返信削除“美中年”好みですが。
阿青さん
返信削除「美中年好み」ですか……。(o^-^o)
かのお方は【華も】お持ちですよね。