先の「韓国ミュージカル情報/09.11.30」をポストした直後に飛び込んできたニュースです。タイトルの付け方など微妙な部分があるので、元記事を全文翻訳して掲載します。文脈が混乱しそうな箇所は、[ ]で私が補足しています。
なお、韓国語タイトル『アガシとコンダルたち』は「娘さんと遊び人たち」ぐらいの意味で、語順は逆ですが『Guys & Dolls』の韓国語訳と言えるものです。
◆ミュージカル『アガシとコンダルたち』著作権論議
毎日経済 2009.11.30
��以下、記事の小見出しと本文全文の日本語翻訳です。)
CJ「原作の人気に便乗した不適切な行為」
GMB「ブロードウェイ・バージョンとは違う創作ミュージカル」
ミュージカル「アガシとコンダルたち(아가씨와 건달들)」に著作権侵害論議が起きている。
ミュージカル製作会社GMBカンパニー(GMB컴퍼니)は『アガシとコンダルたち』を来たる[12月]22日から公演することとしてチケット販売を始めた。GMB側は「原作に現代的感覚を加えて再解釈したブロードウェイ式伝統ダンスミュージカル」とし、「ブロードウェイ最高の人気ミュージカル『アガシとコンダルたち』が華麗なダンスミュージカルとして再誕生して私たちの元に帰って来た」と宣伝している。
この作品[GMB製作『アガシとコンダルたち』]の英語タイトルは『GIRS & BOYS』で、ブロードウェイ作品である『GUYS & DOLLS』とは違うが、韓国語タイトルは[ブロードウェイ作品『GUYS & DOLLS』と]同一だ。
これに対して『アガシとコンダルたち』の韓国公演ライセンス管理者であるCJエンターテイメント(CJ엔터테인먼트)側は、「二つの作品の間の剽窃・盗用について確認した後、法的手続きを通してGMBカンパニー側に民事上の責任所在を問うつもり」と述べている。
CJエンターテイメント側の主張について、チェ・ホヒョン(최호현)GMBカンパニー代表は「『アガシとコンダルたち』は『GUYS & DOLLS』と全く関係のない創作ミュージカル」と言い、「『アガシとコンダルたち』という言葉についての商標権は当社が所有している」と主張している。
私はこの作品を韓国で見たことがないので、どの程度ブロードウェイ作品を踏襲しているのか分かりません。まして、これから幕を開けるGMBカンパニー製作の『アガシとコンダルたち』がどんな作品なのかは知る術もありません。
が、『アガシとコンダルたち』という韓国語タイトルをつけておきながら、「『GUYS & DOLLS』と全く関係のない創作ミュージカル」と主張するのは無理があるように思います。英語タイトルは『GIRLS & BOYS』(記事本文では『GIRS & BOYS』ですが(^^;)と異なっているとしても。
『GUYS & DOLLS』の韓国における上演史を調べてみました。
初演は1983年12月、タイトルは『アガシとコンダルたち』。初演のパンフレット表紙が ここ で見られますが、『GUYS & DOLLS』の文字があります。
但しこの頃の公演は作品の権利関係を無視したまま言わば海賊版として上演されていたもので、正式に版権契約を結んで上演されたのは1994年、エイコム(에이콤)製作の『アガシとコンダルたち』。
その後も『アガシとコンダルたち』というタイトルで上演されていて、2004年1~2月エイコムインターナショナル(에이콤인터내셔날)製作の『アガシとコンダルたち』はブロードウェイの「オリジナル クリエイティブ チーム」がスタッフとして名を連ねた公演、最近の2005年3月~6月ソルダムエンターテイメント(솔담엔터테인먼트)主管の『アガシとコンダルたち』は<2005 new version “Guys and Dolls”in Seoul>と銘打った公演でした。
こうやって韓国のミュージカル史をたどってみれば、『アガシとコンダルたち』=『GUYS & DOLLS』と捉えるのが当然だと思うのですけれど……。
GBMカンパニー製作の『アガシとコンダルたち』は、初日まであと3週間。
どういう決着がつくのか、著作権やライセンス契約の観点からも、チケット販売が始まっている公演の行方という観点からも、目が離せない「事件」です。
『Guys and Dolls』と、よく韓国で『お嬢さんとごろつきたち』と訳されている作品との関係はどうなっているのか知りたいとずっと思ってきました。
返信削除1983年版のパンフ表紙、見ました…
これ、当時ブロードウェイで上演していた別のダンスミュージカルのビジュアルにそっくりです~。
��今、タイトルをド忘れしていますが、そっくりの絵のTシャツを持っていました。)
韓国版『Guys and Dolls』と銘打ったCDも持っています。
1997年に日本で発売された「世界のミュージカルシリーズ」の1つで、ハングルで書かれたタイトルは「아가씨와 건달들」、英語は「Guys and Dolls」となっています。
解説によると1985年にレコーディングされたもので、韓国版オリジナルの歌も入っていますが、聴いたところでは明らかに『Guys and Dolls』ですね。
阿青さん
返信削除> これ、当時ブロードウェイで上演していた別のダンスミュージカルのビジュアルにそっくりです~。
うわぁ~、そうなんですね。なるほど~。
記事にも書きましたが、当時の『아가씨와 건달들』は本家の上演許可を取ってない舞台だったようです。
PLAYDB の2004年の『아가씨와 건달들』の「公演説明」には、
> 기존 공연들은 해적판 공연으로 판권 없이 몰래
> 올려진 작품이었다
��既存の公演は海賊版公演として版権なしにこっそり上演された作品だった)
ってはっきり書かれてるんです。(最近の韓国、こういう「歴史」が表で語られるようになりつつあります。)
83年の初演時は権利関係を曖昧にして、オリジナルを微妙にアレンジした形で舞台化してたのでしょうね。
2005年版が<2005 new version “Guys and Dolls”in Seoul>と銘打っているのも、オリジナル通りの上演ではないということですし。あれ、それともオリジナルに戻した韓国内なのかしらん。
いずれにせよ、韓国の『GUYS AND DOLLS』にはそういう歴史があって、ある意味では、今度のGMBの公演もその系列上の作品なわけですが……。
ちなみに、映画『GUYS AND DOLLS』の韓国語タイトルも『아가씨와 건달들』です。