2010-02-20

韓国ミュージカル情報/10.02.19-『ビリー・エリオット』

 長くなっちゃったので、記事1本だけ。

 この8月からの公演が予定されているミュージカル『ビリー・エリオット』のオリジナル・プロデューサーへのインタビューです。どこか省略しようと思っていたのですが、結局、インタビュー部分は全文翻訳してしまいました。
 主人公ビリーとマイケルはどのように選ばれるのか、最終キャスティング目前です。




ミュージカル『ビリー・エリオット』韓国初公演
 ユニオンプレス 2010.02.18

 バレリーナを夢見た子供、背景の炭鉱の村と純白のバレーの衣装が対比され、子供の夢を一段と際立たせた映画『リトル・ダンサー(Billy Elliot、빌리 엘리어트)』がミュージカルとして再誕生する。(略)

 アジア総括プロデューサーを任されているルイズ・ウィドス(루이즈 위더스)に作業前半についての話を聞いてみた。

 去る1月末、製作会社 Magistella(매지스텔라)は韓国版『ビリー・エリオット』4次ワークショップを行った。最終キャスティングを前にしているだけあって、子供たちの実力は相当に高い水準それ以上だった。2009年2月の1次オーディションを通過した後、1年余りトレーニングを受けてきた韓国のビリー、マイケル候補たちについて尋ねてみた。

Q1 オーディションというよりエンターテイニングにより近いワークショップだ。これは他の大型ミュージカルのプロダクションで試みていないシステムだ。

 自分の生まれつきの姿を「表現」する方法を知っていくこと自体が「演技」であることを理解させるため、オーディションの形態を差別化した。1次オーディションを始めとして、2次、3次ワークショップを通して子供たちの多様な姿を発見しようとするのがエンターテイニング・ワークショップだが、今回行われた4次ワークショップ、即ち最終オーディションは、1年余りの長期間トレーニングを経た子供たちがこの過程をどれだけ楽しむかを見ようとするものだ。また、数次のオーディションを経験して舞台に上がるまでを耐え抜く時間は忍耐力を養う方法だと思う。このような点が既存のオーディションとの差異で、「オーディション」でなく「ワークショップ」と称する理由だ。

Q2 すでにバレーとタップの実力を持った子供たちが参加したウェストエンド、ブロードウェイのオーディションと比べ、韓国の子供たちは可能性を見て選抜しなければならない。1次オーディションに選ばれた子供たちと4次オーディションまで上がって来た子供たちは確実に差がありそうだ。

 4次オーデションまで通過した子供たちの水準は、本当に信じられないほど進歩した。1次オーディションの子供たちを基準に作品の主人公を選ぶのは不可能なことだった。しかし、4次オーディションを通過した子供たちの今の水準は、舞台に立っても遜色ないだろうと思われる。

Q3 ミュージカル『ビリー・エリオット』の韓国プロデューサーも女性プロデューサーだ。この作品が女性プロデューサーに向いている理由があるのか?

 誰であれ男性が担当するには、いくつかの問題が伴なうと思われる。他の公演に比べ、2~2.5倍の苦労と準備の時間が必要だからだ。子供たちを中心に進行する公演となると、健康、安全、怪我や物理治療まで細やかに神経を使わなければならない必要がある。それで、韓国のムン・ミホ(문미호)代表とともに完璧主義者と言われるほどに徹頭徹尾準備してきた。、これは女性が持つ繊細さゆえに可能なことだったと思う。

Q4 ミュージカル『ビリー・エリオット』の韓国初演に意味を見出すとすれば?

 初めて非英語圏の国で公演するという点だ。韓国での初演を通して、私たちはこの作品が持っている真心が英語を用いない文化圏にもしっかり伝えられるのか、可能性を試してみることができるだろう。韓国の観客が英語圏に住む観客と同一の反応を見せるなら、興味深く思われる。また、アジア市場で第一歩を踏み出すのが韓国であるという点が意義深い。韓国版『ビリー・エリオット』がアジア市場進出のテストケースとなるだろうし、これを通して成功の可能性を推し量ることができるだろう。

Q5 最後に、ミュージカル『ビリー・エリオット』を待っている韓国の観客に伝えたいことがあるか?

 Bring Your Tissue! ティッシュを持って来て下さいね!

     ・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

 インタビューを読んで感じたことをとりとめもなく。

 昨年8月に 2次オーディションの記事を紹介 しましたが、その段階でビリーとマイケルの候補は12人でした。12人も選んでることについて、「公演までの1年間に身長が伸びなかった子をキャスティングするのでは?」なんて囁かれてました。もちろんそれは冗談ですけれど、背が伸びちゃったらやっぱり選考からはずれるんでしょうね。

 1年かけての「エンターテイニング(엔터테이닝)」。これ、日本語では何と言うのでしょうか? ワークショップとも少し違う意味のようですし。

 この選考過程、日本だったらTVのドキュメンタリー番組を制作すると思います。1次オーディションから2次、3次のエンターテイニング・ワークショップ、4次ワークショップと最終キャスティングを経て公演初日までを完全密着取材して、まずはキャスト決定までを初日直前に放映、さらに準備段階のダイジェストと初日の様子を初日直後に放映。とっても見たいです、そんなドキュメンタリー。公演と同じくらい面白そう。韓国でそういう企画はなかったのかな。

 非英語圏での初演が韓国、というのは、ちょっと悔しいですね。日本では今のところ公演の企画すらないようですし。まぁ、日本では、劇団四季にはできない作品でしょうし、そもそも子供たちに1年以上のトレーニング期間を課すというのが無理そうですよねぇ。

 これ、韓国では、子供とお母さんだけが地方からソウルへ、ソウル市内でもお稽古により便利な場所へ引越して、お母さんは子供に付きっきりで各種スクールや学校へ送り迎えして、合間にご飯食べさせて……という生活をしてると思うのです、きっと。
 日本でそれやってるのは、オリンピックを目指すスケート選手とか世界に通用するプロを目指すバレリーナとか、ですよね。ビリーやマイケルになれそうな子供(の親)は、ジャニーズ事務所に履歴書送ってそう。今の日本、主流はそっちのような。

 韓国で、子供たちに競争させながら質の高いトレーニング受けさせたら、どれほど実力を伸ばしてくることか。とんでもなく踊れるビリーとマイケルが舞台に登場するんじゃないでしょうか。

 この夏の公演が楽しみです。
 初日は8月1日の予定、LGアートセンター(LG아트센터)にて。

2 件のコメント:

  1. 私も友人もすごく楽しみにしています。
    まだまだ先ですが8月後半に「ミス・サイゴン」と
    一緒に見に行く予定にしてます^^

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  2. ももんがさん
     『ミス・サイゴン』と『ビリー・エリオット』と両方を一度に見られるって嬉しいですよね。
     一昨日、映画『リトル・ダンサー』を見て、ますます舞台が待ち切れなくなってます。楽しみ~。

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