向田邦子『阿修羅のごとく』をモチーフとする作品。初演の映像を見たことがあり、生で見たいと思っていました。
作者の田村孝裕は1976年、昭和51年生まれ。「昭和」を実感として描ける最後の世代なのかもしれません。
2009年6月24日(水)18時30分
シアタークリエ
9列9番
作・演出:田村孝裕
出演:斎藤由貴、星野真理、山崎静代、大沢あかね、入江雅人、今井ゆうぞう、是近敦之、矢部太郎、杉村蝉之介、野本光一郎、和田ひろこ、江口のりこ
製作:東宝
母(和田ひろこ)の女手一つで育てられた四姉妹。長女(斉藤由貴)と四女(大沢あかね)は結婚し、生家に残っているのは次女(星野真里)と三女(山崎静代)だけだが、三女は結婚間近である。母親は入院中で、死期が迫っている。三女の引越し準備と母親の見舞いのため、四姉妹が実家に集まった。
そこへ訪ねて来る葬儀屋兄弟(杉村蝉之介、野本光一郎)、姉妹が幼い日に家を出て行った父親の存在。四姉妹それぞれの事情。隠されていたことが次第に明らかになっていく……。
舞台装置は「昭和の日本の家」。茶の間を中心とした懐かしい空間です。
四姉妹がそれぞれ典型的でかつ個性的。斉藤由貴っていつの間にか、いいお母さん、おばさんができる役者になってるんですね。しっかり者で心の温かい「長女」によくはまってました。入江雅人の「優しさの裏の優柔不断」な夫とともに、いかにもいそうな現実味ある夫婦でした。
初日間近に檀れいが病気で降板、次女役は星野真理が代わって出演することに。急遽決定して短時間で舞台に臨んだとは思えない、堂々たる芝居でした。
この芝居、初演の映像を見ています。その時は、四姉妹の子供時代の場面がドタバタし過ぎていて違和感があったのですが、今回は子供時代と大人になった現在とがしっくり噛み合っていました。作品の根幹が安定し、四姉妹と母が過ごした時間の流れ、家族の日々が素直に受け止められました。
また、葬儀屋兄弟の嘔吐騒動や四女の幼馴染(矢部太郎)のトンチンカンな会話といったコミカルな場面も、突出することなくうまく機能していたように思います。
見終わって、姉妹っていいなぁ、母と娘っていいなぁ、としんみり思いました。
0 件のコメント:
コメントを投稿