この7月から東京芸術劇場の芸術監督に就任した野田秀樹が、最初の公演として招請してきたのがイギリスの 劇団「プロペラ」 。1997年に誕生した男優ばかりの劇団です。
プログラムに、主宰者のエドワード・ホールは「日本に歌舞伎留学しており」とあり、「歌舞伎留学」?えっ?それ何?と思ったら、英語では「researching kabuki in Japan」でした。かなりニュアンス違うような。
2009年7月4日(土)19時
東京芸術劇場 中ホール
2階D列19番
作:ウィリアム・シェイクスピア
演出:エドワード・ホール
出演:Bob Barrett、Kelsey Brookfield、Babou Ceesay、Richard Clothier、Richard Dempsey、John Dougall、Richard Frame、Jonathan Livingstone、Chris Myles、David Newman、Thomas Padden、Sam Swainsbury、Jack Tariton、Jon Trenchard
劇場に着いたら、ロビーに 「舞台セットが日本に届かなかった」という断り書き が掲示されていて、びっくり。今日の演目は「夏の夜の夢」なので、まぁ、何とかなりそうではありますが。
公演は字幕なし、有料(500円)イヤホンガイドによる通訳あり。一応話は知ってるので、とりあえずイヤホンガイドなしで見てみることにしましたが、一幕の終わり近くで眠気に襲われ、二幕からイヤホンガイドを借りました。眠気覚ましの効果はばっちり。
字幕なしは不親切では?と思ってましたが、セリフの量が多いので、字幕で細かなニュアンスまで伝えるのは難しそうです。イヤホンガイドも仕方なかったのかな、と。
通訳は女性の声で、役柄に合わせて声を変えながら翻訳台本を読んでました。
開演10分前ぐらいから役者が一人二人と舞台に出てきます。舞台の後方と左右には白いひらひらした紐で作ったカーテンのようなものがつり下げられてます。後方は2階部分があり。やがて、舞台中央の小さな家から逆さまになったパックが出て来て、芝居が始まります。
野田秀樹が芸術監督としてのオープニングになぜシェイクスピア?と思ってたのですが、舞台を見て納得しました。非常にフィジカルな芝居をする劇団なのです。身体で見せる芝居。野田秀樹好みの役者と演出です。
特に注目してたのは、男優による女性の演技。驚いたことに、ハーミアは小柄で華奢なホワイト、ヘレナは大柄なブラックの俳優が演じます。いろいろな人種が混じる劇団って、日本人の目からは新鮮で、羨ましい部分もありますね。一昨年、ニューヨークで コメディ・フランセーズの「ラ・フォンテーヌの寓話」 を見た時にもそう感じたことを思い出しました。
ハーミア(Richard Frame)の演技は60年代の映画のヒロインのよう。スカートをちょっとつまんで持ち上げたり、軽やかに踊るようなステップで歩いたり。男優なのに愛らしく見えます。ディミートリアス(Sam Swainsbury)とライサンダー(Jack Tariton)が夢中になってるのに違和感なく、適度にコミカル。
ヘレナ(Babou Ceesay)は見た目通りに力強い(乱暴な?)女性を演じていて、恋い慕われたディミートリアスが逃げるのも分かるし、パックのいたずらでディミートリアスとライサンダーがヘレナを取り合う場面は大笑い。それでもやっぱり女性らしく見えます。
また、森の妖精の女王タイテーニア(Richard Dempsey)が素晴らしかったです。背がすらっと高く、立ち姿に気品と威厳があり、まさに妖精の女王。カッコイイ。それがロバ頭の職人ボトム(Bob Barrett)に惚れちゃうのですから、これまた大笑い。
無料で配布されたプログラムは、もう一つのプログラム「ヴェニスの商人」と共通のもので、キャストは俳優の名前の左右に「ヴェニスの商人」と「夏の夜の夢」の配役が書かれてます。自然と両方の役が目に入ってきます。
オーベロン(Richard Clothier)がシャイロックというのは想像できますが、ロバ頭ボトムがアントーニオ、鋳掛屋スナウト(Kelsey Brookfield)がポーシャって……。
「ヴェニスの商人」も見たい……。
(結局見られませんでした、残念)。
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