先日 7月5日に放映されたドキュメンタリー番組 、録画ビデオをまだ見てません。バックステージを見ちゃう前に、当日の舞台の感想を。
2009年5月27日
歌舞伎座
<昼の部>
「寿矢車三番叟」
中村歌昇、中村錦之助
プログラムによれば、「四季三番叟」をもとに藤間勘祖が新しく構成・振付したものだそうです。めでたく格調高く、かつ、さらりと軽めの三番叟。三番叟好きには曲も振りもやや物足りないのですが、この会の序幕にはぴったり。後味のよい舞台でした。
「雪傾城」
中村芝翫、渡辺愛子
富十郎の長女・愛子は幼稚園年長組というから5歳? 行儀よくきっちり勤めてました。間をはずさないあたり、舞踊の才能十分ありそうです。
芝翫はさすがの貫録。
「勧進帳」
中村富十郎、中村吉右衛門、中村鷹之資、市川染五郎、尾上松緑、尾上右近、市川段四郎、他
歌舞伎座最年長の弁慶。「歌舞伎十八番の内」と付いてますが、通常のやり方とはかなり違ってました。まず弁慶の衣装が、翁格子の着付に弁慶縞の水衣。台詞のイキ、問答の間合いも独特です。四天王を抑えての詰め寄り、延年の舞、引っ込みの飛六法は体力的に無理があり迫力は弱いのですが、そこはさすが舞踊の名手、きれいにまとめていました。
御年10歳の義経、辛抱のいる役を行儀よく立派に演じてました。後ろ向きで笠の内に顔を伏せて、お父さんの弁慶のイキが伝わってくれたことを祈ってます。
メディアでは歌舞伎では最年少の義経?と話題になってますが、能の義経は子方が勤めるのですからそんなに騒がなくても……。話題作りたいのは分かりますけど。
芝居に出ない芳村伊十七が歌舞伎の「勧進帳」を弾くというのも楽しみだったのですが、セリフの間が違うわ、延年の舞は穏やかだわで、聞いててよく分からなくなってしまいました。芝居の人の演奏と音色が違いますね。今の富十郎にふさわしい演奏だったかもしれません。
<夜の部>
「寿競べ」
中村梅玉、中村魁春
筝曲で浦島伝説を扱った舞踊。初めて見る演目かも。端正な芸風の梅玉・魁春がさらさらと。
「お祭り」
市川染五郎、尾上松緑、中村福助
この日の番組の中で最も歌舞伎味の強い踊りでした。いずれ歌舞伎座でもありそうな組み合わせです。
「連獅子」
中村富十郎、中村鷹之資、中村橋之助、中村勘三郎
79歳と10歳の親子連獅子。仔獅子の溌剌とした踊りが印象的でした。この演目は、親獅子が仔獅子を千尋の谷に突き落とし、自力で登って来させようとするという内容が、そもそも親子で演じるにふさわしく、実際しばしば実の親子が演じています。今回はそれに加えて、毛振りで仔獅子が親獅子の分まで奮闘し、親から子へと確実に世代交代が行われつつあることを見せてくれました。天王寺屋の芸の継承を力強く宣言してくれた連獅子でした。
数年前、歌舞伎座本公演の舞台で子供を遊ばせてるとしか思えないような大ちゃんの「出演」には「親バカ」の声も聞かれましたが、親バカ結構。この「連獅子」を見る限り、親バカも立派な子育て、伝統芸能を受け継ぐ家の薫陶です。
この先もまっすぐ力強く成長してくれますように。
0 件のコメント:
コメントを投稿