2009-06-30

[演劇]七山里

 日韓演劇フェスティバル の4作品目。この作品はアフタートークの回に合わず、残念。






2009年6月22日(月)19時
東池袋・あうるすぽっと
下手後方(全席自由席)
作:イ・ガンペク(이강백、李康白)
翻訳:秋山順子
演出:福田善之
出演:青山眉子、早野ゆかり、若井なおみ、能登剛、坪井木の実、成田独歩、馬淵真希、奥山浩、竹内千恵、南保大樹、腰越夏水、天野眞由美、長浜奈津子、菊池章友、遠藤剛、小田伸泰



 七つの山に囲まれた小さな村「七山里」。朝鮮戦争で山へ逃げた「アカ」の子供たちが、親の死後孤児となって山奥に残された。村に住む一人の女(早野ゆかり)が子供たちを引き取って育てるが、迫害の続く貧しい生活の中、女はわずかな食べ物を子供たちに譲って餓死する。
 時が流れ、成人した子供たちが七山里へ戻ってきた。道路建設のため、かあさんの墓が改葬されるという公示を新聞で見たのだ。集まった子たちは七人(能登剛、坪井木の実、他)、当時の子供は十二人。子供たちは全員揃ってから改葬の諾否を決めるというが、彼らに残された時間は今日の夕刻まで。かあさんへの想い、迫害された過去、今も残る村人たちの敵意……過去と現実を行き来しながら、時間の流れと人々の感情が浮かび上がる。



 「母」を中心に据えながらも政治色の濃いテーマ、セミ・ミュージカルという形式、子供たちが全員でセリフを唱和する様式。いずれも、一昔前のものという感は拭えません。そういう作品なので、それでよいのですが。セミ・ミュージカル、セリフの唱和は戯曲の指定通りです。



 舞台を見ながら、韓国人の役者が演じたら、もっとカラッと明るくユーモアもある芝居なのかもしれない、と思いました。日本人の演出・演技は、一般的な傾向としてシリアスなんですよね。よく言えば真面目で感動的、悪く言えば重苦しく湿っぽくやりたがる。この作品も作者の意図以上に深刻かつ情緒的になってしまっているような気がしました。



 やはりアフタートークを聞きたかったです。演劇は舞台がすべてで、演出意図や戯曲の解釈なんて舞台裏の話は聞かずもがな、ではあるのですけれど。



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