私が通ってた高校は、生徒会がありませんでした。
5年上の先輩(ポスト全共闘世代?)が「生徒会長になったら生徒会を廃止する」という公約を掲げて会長選挙に立候補、見事当選して公約を実現したからでした。生徒会がなければ、生徒会長はもちろん、学級委員も美化委員も図書委員もいなかったわけで……今考えてみると、正当な手続きを踏んだ「革命」を通じて議会制民主主義が崩壊、って状況だったんでしょうか、当時のうちの高校。
その後、いつの間にか後輩たちが生徒会を復活、現在は立派に生徒会活動してるらしいです。
2009年5月28日(木)14時
東京劇術劇場(中ホール)
1階G列13番
企画・原作・脚本・演出:鴻上尚史
企画・原案:堤幸彦
出演:中村雅俊、片瀬那奈、塩谷瞬、森田彩華、GAKU-MC、大高洋夫、田島令子、安原義人、藤井びん、他
開演前からロビーで舞台上で、ギターを弾いて歌ったり、友達とダベッったりしてる役者さんたち。学生たちの集う平和な風景から、舞台は全共闘運動盛んなりし1969年の私立高校へ。文化祭開催をめぐる学生運動で、機動隊のガス弾を受けた高校生・山崎(中村雅俊)は意識不明となる。
それから30年、突然意識を取り戻した山崎は、失われた青春を取り戻すべく、元の高校に復学する。しかし、そこで彼が出会ったのは、1999年の日常を生きる高校生のクラスメートたち(片瀬那奈、塩谷瞬)と管理教育を実践するかつての同志(大高洋夫)だった……。
30年間の昏睡というワザを使って、60年代の学生運動の最も純粋な部分をそのままに封印、それを30年後の「現代」に解くことによって、69年と99年の「差」を鮮やかに見せてくれる作品です。
社会が変わり、文化が変わり、人が変わった中で、30年前から全く変わっていない男が自分の信じることをやり遂げようとする、その可笑しさ、切なさ、もどかしさ、温かさ。 それは99年の高校生、99年の社会の有様を逆照射し、さらには、2009年の社会、2009年の我が身を相対化することにつながっていきます。
私は全共闘よりかなり後の世代ですから、学生運動に特別な思い入れはありません。それどころか、99年の高校生の「生徒会」ですら頑張ってるな~と思えてしまうほど、その手の活動とは無縁でした。理由は冒頭に記した通り。
なので、この芝居を見て涙流したりはできませんが、それでも高校時代・中学時代の出来事を思い出し、考えされられてしまいました。
見る者の胸に自身の過去を去来させる芝居なのでしょうね。
終演後のスペシャルトークショーは、鴻上尚史のホストに、出演者の片瀬那奈と東宝所属の演出家・山田和也がゲスト。ミュージカル「フラガール」つながりだそうで。
山田氏はショービジネスの裏方に憧れてこの世界に入ったので、演出家はむしろ想定外だったとか。今でも、開演中は舞台の裏で大道具の転換したりしていたいという言葉に、ひたすら芝居の現場が好きという気持ちがひしひしと感じられました。
また、鴻上・山田両氏に共通していたのが、昔はともかく今は役者に怒鳴ったりしない、そんなことすると今の若い子はすぐ潰れちゃう、という話。ホントにすぐに「プシュッと」なっちゃう、という表現、実感ありました。同様の話、大学関係でもよく出るのです。演劇やろうって若者でもそうなんですねぇ。
プシュッと潰れちゃう今の若い人に学生運動はやっぱり難しいのでは……とまた考えさせられたトークショーでした。
余談。
セリフに出てくる「加藤鷹さん」を全然知らなくて……文脈からAV方面の人らしい、ってことは推測できましたけど。家に帰ってからネットで検索しちゃいました。私が韓国にいた間にかなり名前が知られた人なんですね。こんな時、「浦島太郎」を実感。
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