2009-06-17

[演劇]壁の中の妖精

 日韓演劇フェスティバル 、3作品目は、福田善之の戯曲「壁の中の妖精」を翻案した韓国版「壁の中の妖精」。2005年にソウルで上演されています。
 韓国の演劇に関心はあるのだけれど、言葉が分からないからどうも……と思ってる人に強力お勧め。
 17日14時・19時、18日14時@東池袋あうるすぽっと、です。
 で、卵、買ってあげてください。できれば2個以上。






2009年6月16日(火)19時
東池袋・あうるすぽっと
後方下手寄り(全席自由席)
作:福田善之
脚色:ペ・サムシク(배삼식、裵三植)
演出:ソン・ジンチェク(손진책、孫桭策)
出演:キム・ソンニョ(김성녀、金星女)




 お勧めの理由は、韓国演劇の質とレベルを知ることができるから、です。



 日本の戯曲ですが韓国の作品として仕上がっていて、韓国の演劇作品の内容や質を知ることができる舞台です。
 韓国の役者の演技力、レベルを知ることができます。キム・ソンニョ、すごく上手いですが、韓国演劇はこのくらいの役者がゾロゾロいます。
 舞台を見ながら、大学路の劇場にいるような錯覚に陥ってました。



 繰り返しますが、韓国の演劇に関心はあるけれど言葉が分からないからどうも……と思ってる人はぜひこの機会に見てみてください。もちろん、春風ひとみの日本版「壁の中の妖精」をご覧になってる方も。




 以下、具体的に書いときます。



◇1 韓国らしい骨太の物語



 スペイン内戦当時の実話を元にした作品を韓国の物語に翻案。日本の植民地支配からの解放後に小作人に土地を分け与え、朝鮮戦争の際に北に向かったことにより、「パルゲンイ(빨갱이、アカ=共産主義者)」のレッテルを貼られてしまい、壁の中に隠れて20数年間を過ごした男、その「壁の中の夫」を支えた妻、「壁の中の父」に愛されて成人した娘、という家族の物語になっています。よくできています。
 韓国の作家が書いた韓国オリジナルの物語と言われても違和感なさそう。
 韓国らしい、骨太の力強い作品です。



◇2 一人30役を演じる役者の演技力



 キム・ソンニョの演技力すごいです。妻・娘・夫・その他すべての登場人物を一人の役者が演じます。セリフ、身体つき、顔の表情、しぐさ、声、セリフ回し、あらゆる技術を駆使して演じ分けてます。ただ見ていて、すぐに誰だか分かります。
 歌唱力も相当なもの。日本の観客はノッてくれないので、やりづらかったことでしょうが。
 女優としてとても魅力的。娘のウェディングドレス姿、美しくて、可愛くて、光り輝いていて。思わず涙ぐみました。



◇3 言葉の壁が低い



 舞台背景をスクリーンにして上部に字幕を投影します。役者は一人、道具が少ないシンプルな舞台なので、演技と字幕の両方を追うのが比較的楽です。
 また、役者が一人のため、セリフをかなり忠実に(ほとんど省略せずに)字幕にできてます。
 字幕付き外国語公演としては、言葉の壁による理解しづらさやもどかしさが少なめの舞台だと思います。



 というわけで、とにかく、強力お勧め。
 この日は、芝居が終わった後、しばらく拍手が鳴りやみませんでした。



2 件のコメント:

  1. あ~、やっぱりななさんもいらしてたんですね。
    私も行ってました。
    もしかしたらと思って休憩時間も終演後も周囲をキョロキョロしていたんですけど…。
    休憩時間に携帯でここをチェックしておけばよかった~。
    終ったあと語り合いたくなる、いいお芝居でした。
    卵、近くに来たら買おうと思って待ち構えていたら、その前に春風ひとみさんに買われてしまいました(笑)
    >強力お勧め
    ��プッシュ!

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  2. なな(管理人)2009年6月18日 0:43

    阿青さん
    あ~っ! いらしてたんですね。気がつかなかった~。
    いろいろ語り合いたかったです。
    見終わって、拍手を送り続けたいと素直に思えた舞台でした。

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