当初、『タンポポ、風になって』のレビュー のマクラにするつもりで書いた文章なのですが、あまりに長過ぎなので、別記事として書き改めました。
ファソンアートホールにて、『タンポポ、風になって』の開演前に行われた前説での出来事です。
韓国の演劇公演では大抵、劇場や劇団のスタッフさんによる前説があります。
「携帯の電源は切って下さいね」
「公演中の録画録音は禁止ですよ」
「客席での飲食も禁止です」
この3つの注意事項を観客に伝え、開演前に客席を「温める」のが前説の役目です。お客さんの注目を集め、コミュニケーションを取らないといけないので、劇団の公演では新人団員が腕を磨く場になっていたりします。これは日本も同じですね。
もっとも、客席数が1,000を超えるような大きな劇場では、場内アナウンスが入るのが普通です。これも日本と同じ。
さて、ファソンアートホールは720席という広めのホールでしたが、スタッフによる前説がありました。
まず、注意事項は、上記3つの定番に、
「上演中、舞台上の俳優さんに話しかけないで下さいね」
というのが加わるスペシャルバージョンでした。う~ん、さすが地方公演です。
伝統的な韓国の演劇では、お客さんが演者に話しかけるのは当たり前、これをいかに芝居に取り込んで面白く話を進めていくかが演者の腕の見せどころだったりします。長年こうした文化的慣習に馴れ親しんできたおじいちゃん、おばあちゃんは、近現代劇の舞台であっても、演技している俳優さんに話しかけちゃうことがあるのです。演者が当然応えてくれるものと信じ切って。
この注意事項、前にも一度、前説で聞いたことがあります。思わず笑っちゃいました。あれは、どこの劇場だったか。
続いて、観客へのプレゼントがありました。これも韓国の劇場でよく行われるミニ・イベントです。前説のスタッフさんが簡単なクイズを出題し、一番早く大きな声で指定の言葉を叫んで手を挙げた人が解答権を獲得、クイズに正解すればプレゼントを貰えます。
指定の言葉というのは、公演の題名や内容に関連した単語をスタッフさんが指定します。今回は「タンポポ」でした。また、プレゼントの品は、公演によっていろいろですが、原作の小説本やファミリーレストランの食事券などが多いです。
ファソンでのクイズ、実際はこんな具合でした。
「僕はある芸能人に似ているとよく言われます。その芸能人は誰でしょう?」
「タンポポ!」
「タンポポ!!」
「タンポポー!」
「では一番早かったそちらの男の方、答をどうぞ」
「チャン・ドンゴン!」
「正解です!!」
会場内の全員が大笑い。楽しいクイズでした。
「正解者」へのプレゼントは、『タンポポ、風になって』の公演プログラム。もう売ってないので、貴重な品です。羨ましい~。
客席はすっかり温まり、和やかな雰囲気の中、開演を待つばかりとなったのでした。
☆関連記事
[演劇]タンポポ、風になって/민들레 바람되어
0 件のコメント:
コメントを投稿