2009-11-15

[演劇]タンポポ、風になって/민들레 바람되어

 ソウルから1時間半、地下鉄を乗り継いで着いた所は「ビョンジョム(병점)」駅。漢字表記は「餅店」。もしかしてお餅屋さんがあるのかもと、駅前をキョロキョロ探してみましたけれど、そんな気配は微塵もありませんでした。なぁんだ。
 チケット予約時に教わった通り、2番出口を出て、駅を背に左方向へ道沿いに歩くこと3分。ファソン(華城)アートホールに到着です。
 早速入ろうとすると、建物の入口で体調チェックが行われていました。新種プル(신종풀、新型インフルエンザのことです)の感染者が毎日9,000人ずつ増えてるという韓国、何と、入場者全員に対して耳での検温です。
 えーっ! ここまで来て、入場拒否される可能性アリってこと? そんなぁ~。
 幸い入場を認められ、ボックスオフィスの列に並べば、私の順番が来る前に「かっとあちゅこ씨、맞죠?(かとうあつこさんでしょ?)」と何故か正体を見破られ、電話予約したチケットを受け取ることができました。
 ソウルを離れてはるばる来るのも、これはこれで楽しい経験です。




11月1日(日)15時
ユーエンアイセンター・ファソンアートホール/유엔아이센터 화성아트홀
R席 1階A区域47番(前方下手ブロック)
作:パク・ジュングン/박춘근
演出:キム・ナギョン/김낙형
出演:チョ・ジェヒョン/조재현、イ・ジハ/이지하、キム・サンギュ/감상규、ファン・ヨンヒ/황영희

Tampopo

 一人の娘を残して先だった妻(イ・ジハ)の墓を人生の節目ごとに訪れる夫(チョ・ジェヒョン)。夫は妻の墓に向かってその時々の生活や自身の想いを語りかけ、亡霊となった妻も夫に様々な話をする。次第に二人は結婚生活の中で言えなかったことを話し始め、それぞれの秘密や誤解が明らかになるとともに、互いを理解するようになっていく。
 人生は、自分の意図とは違ったふうに形作られてしまい、望んでいたのとは違う方向へ進んでしまう。こんな風に生きたかったわけではないのに。心の中ではもっと優しくしてあげたいと思っていた。本当はあなたを愛していた。

 妻が好きだった一面のタンポポの野原。客席がその野原に見たてられているため、観客は自分が一輪のタンポポになったような気分で夫婦の会話を聞くことになります。
 死んだ妻を忘れられず、娘との関係に悩み、妻を愛するがゆえに憎みもする夫。チョ・ジェヒョンが演じる夫は20代から60代まで。チョ・ジェヒョンの独白を聞きながら、ある夫婦の人生を見つめ続け、夫婦の縁というものを考えさせられた舞台でした。

 大学路の演劇熱戦2での上演時に見られなくて残念に思っていましたが、日頃演劇に縁のなさそうな年配のご夫婦が客席の大半を占めた地方公演でこの芝居を見られたのは幸運だったかもしれません。これもまた縁なのでしょう。

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2 件のコメント:

  1. ずっ~と前から観たいと思っていた作品。何と水曜日11時の公演がある・・・。そしてその回は、チョ・ジェヒョンさん。本当に幸運の連続で観ることができました。
    さすがに平日11時ですから、観客の主流は、老カップルとアジュンマでした(笑)。老境に差し掛かっている身としては、胸にジンとくる場面が多く、しみじみとした暖かい気分を味わうことになりました。チョ・ジェヒョンさんって色気ありますよねえ。

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  2. pinさん
     ご覧になれたんですね。よかったです~。
     私が見たのも地方公演だったので、日頃演劇などに縁のなさそうな中高年ご夫婦ばかりでした。この作品ではそれがよかったと思ってます。
     チョ・ジェヒョン、色気ありますよね~。
     映画ではまた違う顔を見せることが多いですし、いろんな一面を持ってる役者さんですねぇ。

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